第九章

 九月一日。まだ暑さが残り、しぶとい蝉は夏からまだ今も鳴き続けているというのに、学校では二学期が始まった。体育館で行われる始業式では例の如く、生徒会によるご厚意を有難く受け取って、それでいて誰も沢田については話さなかった。

 「久しぶりー。」

 などと女子たちが手を合わせ、男子は今日も下ネタとゲームの話で盛り上がっている。

日常を通り越して、もはや習慣のような会話しか聞こえてこない。別に夏休みを経たからと言って誰も変わったりはしない。また今日からいつも通りの毎日が始まるだけだ。

どうせ僕もまた、教室でロボットみたいに過ごして、帰りの電車で人様の自慢を流し見して、塾行ってあそこ寄って家に帰る。母さんのご飯は美味いから、それ食べたら一日の張り合いはきっと点くだろう。


九月二日。僕は再び父さんの住むボロアパートに足を運び、そこのポストに用を済ました。


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