五感不満足

大和魂

　出先でクソをするのは得意でない。公衆便所は大抵が汚いし、何だか他人の気配で落ち着かない。

　加えてしばしば不届きものが居るからだ。

　個室が三つのあるうち一つが空いている。だのに入らないで並んでるやつが前に居る。

　何事かと思いつつ待っていると、更に一室空いて、そっちに入っていった。最初から空いている方を見ると、個室だった。

　本当に腹が立つ。入れよ。クソを捻り出すだけなんだから、選り好みすんなや、と。

　お前がのんびり様式を待ってる間、後ろの俺は下痢の噴流を必死で止めている。闘ってるんだ。

　個室はケータイをいじるとこじゃねえ、ウンコをするところだという常識がないやつは、無神経にできている。

　洋式待ちするなら後ろの人に「先にどうぞ」とでも言って譲りゃいいものを、それ降らせずに呑気に音楽を聴いて待って、こっちから尋ねることすらままならない。

　これに輪をかけて悪質なのは、和式を使わず障害者用を使う輩だ。これは犯罪に近い。いや、もはや犯罪だ。

　ひょっとしたらなにかトラブルで障害者用に入ったのかと、性善説で見てやっても、出てくるのは努めて平成であろうとして逆に変な顔になってる連中ばかり。

　睨まれて罪悪感を覚えるくらいなら、和式を使えや。

　であるからに、大和魂を失った連中にうんざりしながら、便意と格闘を続ける日々だ。