【悲報】バグで職業欄にスキル名が混ざりこんでたので【選んでみた】
🎼神音フォロウ🎼
[次回更新日][未定]
ʕ•͡ω•ʔナギヘン🖥
1.ワールドゲーム
うーん、どの職業にしよう…。
今話題の[ワールドゲーム]。それは、実際にゲームの世界に入っている的な感じの凄い技術が駆使された最新のフルダイブ型VRゲームである。
参戦方法は、PCに接続した付属のVRゴーグルを装着するだけ。
身体感覚の誤差を減らす為にキャラメイク機能がないのは少し残念だが、この素晴らしいゲームの前では些細な事だ。
そしてもう一つの売り。それは初めに選べる職業の種類が豊富という点だ。とはいえ、選択可能な職業は人によって大きく異なっていて且つ後から自由に変更は出来ないため、最初の職業選びはとても重要なのだ。
その仕様から、他のプレイヤーとの職業が被りにくい。これも俺がこのゲームを楽しみに待っていた理由の一つだ。各々が唯一を開拓しうる。なんて素晴らしいんだ。
さて、一体どんな職業があるのか。
[剣士、兵士、騎士、魔法剣士、魔法使い、暗殺者、密偵、諜報員・・・]
何十種類もの職業が選べるようだが、それでも俺が選べるのは比較的少ない。友達の石田は、約百種類から選んだと言っていたのに。
並べられた職業名をザッと見ていくと、最後の一つで違和感を感じた。
最後の一つは[盾術]と書かれていた…。なんだ盾術って。盾術師ならまだギリギリあるのかもしれないが、これは絶対スキルの名前だろう。おそらく職業欄ではなく、スキル覧にあるべきものではないだろうか。
運営に問い合わせた方が良いかもしれないが、しかしこれはこれでネタになる。ギルドとかで受付嬢に『では、貴方の職業は何ですか?』なんて聞かれたら、「はい。私は盾術です」なんて答えるものだから『え?頭大丈夫ですか?では貴方専用のEランククエスト、精神科へ行くを受注してください』なんて言われるに違いない。
取り敢えず、これ自体バグだろうから、そもそも選択できない可能性がある。試しに俺は、職業選択画面で盾術を選ぶ。すると職業選択が完了し、ステータス画面の職業名が出ているべきであろう場所に盾術と記載された。
よし、俺は盾術になった。
・ ・ ・ ・ ・
いいや、なったというより、なってしまったと言うべきか。職業選択だけ終えて一旦ログアウトした俺は、既に大いに後悔していた。
俺は夏休み中の大学生なのだが、同様にこのゲームを始めたと噂の大学の人たちを中心とした、俺の友人も含む色々な人が集まっている30人程のライーングループでは、皆次々と強そうな職業になった報告をし合っている所だった。
ある者は騎士やパラディンに、ある者は魔導士や魔女に、そして石田は召喚士になっていた。
ライーングループの通知が来た。
『おーい、凪は職業何にしたんだよ』
『俺たち事前に打ち合わせしないで各々好き勝手職業決めたから、回復役とかいないよねw 回復系の職業だと有難いけど』
そんな感じで遂に俺の職業の話になった。みんなカッコいい職業になったのに、俺だけ職業が盾術だ。一体どうしてくれよう。自分で選んだといえばそうなのだが、あの時はノリで選んだだけで、このゲームで一生盾術かと思うと泣けてくる。まあ転職できるという噂もあるので、いつか変えられるだろうが。兎に角、隠し続ける訳にはいかない。
「俺は、盾術になった」
『卍』
『卍』
卍が沢山送られてきた。恐らくふざけていると思われているのだ。
『で?本当は何になったん?』
やっぱりそう思われてた。
「俺は、盾術になった」
『おいおい、お前は、いつまでふざけておるんじゃあ』
石田から怒りの返信が来る。だが嘘じゃないんだ。職業選択はまあふざけて選んだが、嘘ではないのじゃ。
「マジなんだって。やっぱバグ?マジで俺の職業盾術なんだよ。さっきゲーム内スクショしたから写真送るわ」
俺がライーングループで、職業選択画面に盾術がある写真を送ると、グループが騒ついた。
『卍』
『卍』
何だこいつら。
『それにしても凪マジかww 職業が盾術ってなんだよw』
『盾術って、タンク系の職業のスキル名だよな?』
『バグってるw』
『おほほ、本当ですわw』
「一応運営にも問い合わせてみるわ。取り敢えず、ワールドゲームで合流しようぜ」
因みに考えられる最悪のパターンは、盾術がバグで何も出来ずまともに戦えないことだ。運営に問い合わせても珍しいバグならば対応に時間もかかるだろう。折角初日に即買ったのに、この社会現象にもなっている程の素晴らしいゲームのスタートの遅れを取るわけにはいかない。
『ワールドゲームの世界へようこそ』
脳内にアナウンスが響く。シンプルなタイトルだが、世界初の完全フルダイブ型VRゲームには相応しくもある名前だ。
チュートリアルはスキップした。事前知識である程度は知っているし、何より盾術が心配だ。ちなみにチュートリアル終了後、服以外装備は渡されず、プレイヤーには1000Gが配られる仕様である。店で買えということだろう。
新規プレイヤーは皆始まりの町に召喚される為、始まりの町は巨大に作られている。また、町の外周は全て巨人の侵入をも防げそうな程高くて頑丈そうな壁で囲われていた。内側からは青空だけが見える。
取り敢えず、友達と合流しよう。友達とはここから近くに位置する[ウィンドギルド]で会うことになっている。
それにしても、町を歩くだけでも面白い。沢山のプレイヤーがいるし、何より本当にゲームの中にいる気がして、それだけでも新鮮だった。
賑やかな大通りの脇には、多種多様な店がずらりと並んでいた。発売されて間もないので、まだ人々の装備も似たようなものばかりだ。
木の剣に、木の盾に皮の防具、…ん? [防具屋]と書かれた木の看板を武器にしてる人がいる…。
このワールドゲーム、ゲーム内での物理的な行動などに制限がほぼ存在せず何でもできるというふうには聞いていたが、まさかあれは防具屋さんの看板をこっそり盗んだのか?マジインスタ映え。
よくやく[ウィンドギルド]の前までやってきた。白をベースとした大きく立派な木造の建物で、屋根には風を表しているかのような銀のエンブレムが飾られていた。それはもう立派な。
中に入ると、ギルドは活気で満ち溢れていた。既に少し強そうな人もいる。あ、受付の近くに宿屋の看板武器にしてる人がいる。この町荒れすぎだろ。
受付嬢とその男が丁度話しているな。
『では、貴方の職業は何ですか?』
『俺の職業はなぁ、剣闘士だ』
『では、貴方が左手に持ってる[宿屋]と書かれた看板は何ですか?』
『これはなぁ、町の宿屋から奪ってきた超レアアイテムだ。なんせ非売品だしな!ハハハハハ』
『あの…申し訳ございません。盗人をうちのギルドに登録させる訳にはいきませんので…』
『何だって!?』
そりゃそうだ。俺もギルド側だったら町の看板奪う奴をギルドメンバーにはしたくない。
『で、でも!盗人でもギルドに登録できるって、田中から聞いたぞ!』
『申し訳ございませんが、それはジョブのシーフです』
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