あとの血祭り

ぎざ

第1話 祭りの前

 告白は、祭りの後にしたほうがいい。

 なぜって? 両想いの場合はそれでもいいけどさ。

 ふられた時のことを考えてみろよ。これからの祭りを楽しめるわけないだろ。

 その場のテンションで後先考えずにやっちゃいけないんだって。


 学校が夏休みになってから約一ヶ月近く会えない状態で、久しぶりに会ったユイちゃんを目にして、つい気持ちを抑えきれなくなってしまったんだ。反省。

 ふられた後のことはあまり覚えてない。ただ、浴衣を着て夏祭りに行くつもりだと聞いた。

 きっと、ユイちゃんが本当に好きな人と一緒に行くんだろうなって。

 だって、夏祭りって言えば、夏の大イベントだ。屋台も少なからず出るし、小規模だけど花火だって上がる。好きな人と過ごすに決まっている。

 浴衣を着たユイちゃんだけならさ、目の保養だよ。正直さ! だけど、好きな人と夏祭りを楽しんでいるユイちゃんを見たら、発狂するね! そんな地獄、俺はご免被りたかった。

 でも、祭りはユウヤと一緒に行くって約束してたし、今更そんな理由で断るのもおかしいと思った。そうすると、俺がユイちゃんに告白して、玉砕したっていうのもバレる。まぁ、俺が告白したって話は、夏休みが終わったら、学校で広まってしまうとは思うけれど。時間の問題だけれど。それでも今日、夏祭りが終わるまではバレたくなかった。

 恥ずかしかったのだ。ユイちゃんと祭りにいけないことが。

 だから、俺は祭りが中止になったって、嘘をついたのさ。つまらない嘘。小さな嘘だ。

 そうしたら、本当に中止になってしまった。

 何故かって? ユイちゃんが殺されちゃったからさ。

 花火の準備をしようと、町内会館の備品庫に花火を取りに行った役員さんが発見したらしい。浴衣姿で血まみれなユイちゃんを。

 一体誰に殺されたのか? ユイちゃんのために、見つけてやらないと、気が済まないね。


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