ヘヴンリィ・ザン・ヘヴン ~願いで現実を上書きできる世界で転生を祈り続けた少年、願いどおりのスキルを得て、美少女ハーレムを創り、現代知識と聖剣で世界最強へ突き進む~
3章6話 ナイショ話、そして可能性(2)
3章6話 ナイショ話、そして可能性(2)
「俺も師匠に対してこう言っちゃ悪ィが、このオッサン、いくら自分ができるからって頭イッてるだろ! ってツッコミたくなったぜ。けど――」
「けど?」
「――ハッ、気付いたんだよ。自分で自分にできねぇってレッテル張ってたら。いつまで経ってもテメェを越せねぇ。まぁ、アレだ。ンな感じに騎士としての魂が
「エルヴィスさん、オッサン呼ばわりされているけど、よろしいんですか?」
「弟子として評価する時にヒイキすることはしないが、個人的には気に入っているからな。こいつの怖いもの知らずなところを」
アリシアに訊かれてもなお、エルヴィスはレナードを叱らない。
それに、エルヴィスはわかっているのだ。レナードにとって、自分のことをオッサンと言うことと、尊敬していないということは、決して同義ではない、と。
「さて、大方レナードが話してしまったが、そのような試練を乗り越えて、そいつは晴れてオレの弟子となった」
「ロイはバカ真面目だから、ゼッテェ特務十二星座部隊に直接弟子入りを申し込まないと思ったぜ。ダメもとでも、言うだけ言ってみたらよかったのによォ」
「ぐぬぬ……」
少しだけ悔しそうに唸っているロイに、レナードは渾身のドヤ顔を炸裂される。
以前敗北してしまった相手、しかも好きな女の子を奪った男子に一泡吹かせられて、よほど気分がいいのだろう。
しかし、だ。
レナード本人と、彼を見てどこか弟子のことなのに自分自身のことのように誇らしげなエルヴィスを見回して、ロイは悔しがるのを早々にやめる。嗚呼、これは呆けてなんていられない、と。このまま、レナードだけには後れを取るわけにはいかない、と。
理由は単純明快で――、
――やはりアリスの一件が片付いた今だとしても、レナードのことが気に喰わなかったからである。
「――ッ、レナード先輩に1つ、言っておきたいことがあります」
「アアァ?」
急にロイの雰囲気が切り替わって、レナードは脅す感じに近い声音で聞き返す。
「ボクは今、素直にあなたの行動に驚きました。確かにボクにはエルヴィスさんに、ダメもとで弟子入りを申し込む、という発想はありませんでした。前回はボクの勝ちでしたが、あの時から今まで、ボクが100の成果を残したのに対して、まぁ、そうですね……先輩は101ぐらいの成果を残したと思います」
「ハッ、負けず嫌いめ。テメェが密入国者を殺したことは知ってっけどォ、言っておくが、俺は向こうで魔王軍の軍人を3人殺して帰ってきたんだからな?」
「えぇ、ですから、ボクと先輩が今改めて戦えば、もしかしたら先輩が勝つ可能性も充分にあるでしょう。それは――負けたくないからこそ、認めざるを得ません。ですが――」
「――――あぁ」
「――いつか、そう遠くないうちに、今度は逆にボクの方が、先輩からマウントを取ってやる……ッッ!」
「ケッ、やっぱテメェはムカつくなァ。けど、まぁ、イイゼ? 望むところだ。もっかいマウント取られても泣きベソかくんじゃねぇぞ」
「先輩こど、あとでほえ面かかないでくださいよ……ッッ」
こうして、レナードがエルヴィスの弟子になった経緯の説明と、そしてそれ以上に、ロイとレナードの因縁の再会は終了した。
そしてひとまず会話が一段落すると、ロイはエルヴィスに奢ってもらったカレーに本格的に手を付けながら、ここにいる全員に『次の会話』をしようとする。
その肝心の次の会話の内容とは、つまり、ロイの出生に関することであった。
自分がこの世界に命を与えられた経緯を、この3人には明かしてもいい。と、ロイは遅まきながらようやく、そのように思えることができるようになったのだった。
「アリシアさん、エルヴィスさん、あと、レナード先輩」
「オイ、俺はオマケかよ、アァ?」
「他言無用で、ぜひとも耳に入れておいてほしい話があるんです。それと恐縮ですが、アリシアさんに防音と人払いの魔術をお願いしてもよろしいでしょうか?」
ついに、ロイはこのように切り出した。
たとえまだ中等教育の生徒だったとしても、ロイはアリシアとエルヴィスから一定の信頼を得ている。騎士としてはまだまだ未熟だが、少なくとも人として信頼に値するとは認められていた。
そんなロイが改めて前置きをして、他ならぬ特務十二星座部隊の自分たちに伝えておきたい話がある、と、そう言っているのだ。
アリシアとエルヴィスは瞬間的に視線を交錯させて、すぐに互いの意思を確認し終えて頷き合う。その後、すぐにアリシアは指を鳴らして防音と人払い魔術を発動させた。
すると即行で魔術の影響を受けてしまい、食堂にいた他の4人の団員が持ち場に戻った。
これで今からする話を、誰にも聞かれる心配はない。
「ロイさん、これでよろしいですか?」
「えぇ、ありがとうございます、アリシアさん」
「それで、ロイ。早速だが、改まって
「――本当に急で、もしかしたら、信じられないことかもしれませんが、ボクは、もともとこの世界の住人ではありません」
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