伝説へ

「っふぅ~。みんなお疲れー!!」

倒れこむドラゴンが絶命しているかを確かめ、みんなに終了の合図を送る。

「ぃやっほーーう!!俺達ゃドラゴンスレイヤーだぜーー!!」

「ふぃ~。さすがにデカブツは堅かったねぇ」

「みなさん凄いですね。ほとんど無傷で倒しちゃうなんて」

「それで、収穫は?」

「いや~弾使ったなぁ。竜狩りなら単発火力で考えたほうがいいかもなぁ」

思い思いの言葉を出しながら健闘を称えあう。初対面の敵ということもあって、戦闘自体も楽しかったのだろう。 みな、テンションが高い。

「ナイス。疲れてるか?」

「面白い冗談言ってくれるじゃねぇか。ナイスガイと呼んでみろ。スーパーマンが駆けつけてくるぜ?」

「よし、ナイスガイ。少し戻って車持ってくるぞ。これだけの大物だ。かなりの収穫になる」

「ああ!!俺の活躍も載せておいてくれよ?なんてったってドラゴンスレイヤーだからな!!」

「ふくくっ。確かに火炎放射を掻き分けて顔面にシールドチャージとか伝設モノだったな。今度アイネに頼んで動画とってもらおう。絶対みんな喜ぶよ」

「へへっ!そうだろそうだろ!!俺は不可能を可能にする男の中の男!!ナイスガイだからな!!」

笑いながら車をドラゴンに寄せる。その頃には皆剥ぎ取りをしていて、見たこともない素材に目を輝かせている所だった。取れたものから次々にバンへ放り込み、それが終われば帰路へ着く。アイネも疲れているだろうし、帰りの運転はナイスに頼んだ。

ナイスガイ。そう呼べばなんでもやってのけるやつである。

「ナイス。減速」

「あいよ」

帰路について間もなく、ナイスにそう指示した。スピードを落として遠くを見やる。そこでは、ドラゴンが暴れているのが見える。そして、その下で苦戦しているのは欲張りステキセットのように見えた。

「うーん」

「助けに行きますか?」

ルナと交代して積載用のバンに乗っていたアイネが後部座席から顔を出す

「そうだなぁ。でも、みんなも疲れてるだろうし……」

「おっと聞き捨てならねぇな!!このナイスガイは当たり前として、みんな!デカブツのおかわりくらい平気だよなぁ!!」

通信機から叫び声が聞こえてくる。呆れるほど元気なメンバーたちだ。

「わたしも大丈夫です!もう一戦くらいなら道具も持つと思いますし!!」

むん、と拳を握って見せるアイネ。可愛らしいアピールに頬を緩ませつつハンドルを回す。

「OK。第七遊撃隊、これより援護に向かう!総員戦闘準備!!」

「よし来たぁ!!」

アクセル全開。ナイスも返事と同様に加速させる。

ある程度近づいたところで窓から声をかける。

「苦戦してるねステーキ。援軍はいるかい?」

「ナユタか!?はぁっはっは!!強がりてぇが今回ばかりは苦しいなぁ!条件は!?」

「クラン割でどうだい?そっちの獲物だ。人数少ないそっちが多く貰っていけばいい」

「はっはぁ!!商人相手に安売りしやがって!!いいだろう!!その貸し借りといてやる!!」

「交渉成立だ。ナユタ出動!!」

「かかってこいやぁぁ!!」

号令とほぼ同時に車から飛び出し、突っ込んでいくナイス。他のメンバーも指示を出さなくても散開して位置取りをしていく。

「こっちはもう一匹狩ったからね。大まかな指揮は任せて」

「オメェに文句言うやつはウチのクランには居ねぇよ。オメェら!!ナユタが加勢する!指揮が変わるから聞き逃すんじゃねぇぞ!!」

「さぁ、竜狩り二戦目だ。総員気合入れてかかれ!!」

「おう!!!」

ステーキの野太い返事が戦場に響く。その後、無事竜狩りを果たした数日後にはナイスのシールドチャージが伝説となり、新たに火中の男という称号が追加されていた。

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