出発
祭りの三日前。通達に応じてやって来たのはナイス、アイネ、テシェロ、ルナに呼びかけ人である自身を含めて五人だった。
「みんなよく集まってくれた。いつものメンバーと言えばいつものメンバーだな」
「ナラトさん。この場にいる人で全員ですか?」
アイネが少し不安げな表情で周りを見渡す。誰を探しているか、なんて分かりきったことだ。
「安心してくれアイネ。ウチの頼りになるヒーラーさんなら現地合流の手はずだ。もしかしたら先に着くかもと言ってたくらいだし、遅れることもないと思うよ」
アイネがホッと胸を下ろす。ヒーラー不在のパーティーに未来はない。なので、経験が少なくアイテムで補助できるアイネがヒーラーを肩代わりするのは容易に想像がつく。
アイネだって戦闘中でも周りを良く見れているから信頼に値するが、歴戦のメンバーの中で上手く立ち回れるかが不安なのだろう。
「おっと、頼りになるってんならオレだって負けてねぇぜ」
ナイスが親指で自身を差す。自他共に認める名タンクだ。戦闘の要でもある。
「今回も頼むよ。俺、刀から弓をメインに変えたから前衛減っちゃったしな」
「マジか。じゃあ、前衛はアイネちゃん抜くと二人?しかも二人ともへヴィーウェポン?」
「今回の新種の敵はドラゴンだって前情報あっただろ?近接は仕事出来るか分かんないぞ。ナイスはタンクとして、アイネちゃんやガンナーを守ってもらうことになるかもしない」
「なるほどなぁ。まーかせとけって!ナイスガイはいつだって期待に応えるもんなんだぜ!!」
ニカッと笑ったナイスの歯が光ったような錯覚を覚えた。
「まぁ、全く違う可能性もあるから。その時は臨機応変に対応しよう。移動中のことだけど、積載車の運転はオレがやるよ。移動車は…アイネちゃんお願いできる?」
「はい!任せてください!」
フンス、と気合い十分に返事が来る。気負いすぎてなければ、と思っていたが杞憂だったようだ。
「好きな方に乗ってくれー。出発前に装備、所持品のチェックはしとけよー」
「イェッサー」
積載用のバンにはルナが。移動用のミニバンにはテシェロとナイスが乗り込んだ。
「それじゃあ、しばらくはゆっくり旅行気分で。出発。」
アクセルを踏み、先導する。後ろからアイネちゃんがついてきてるのを確認して速度を乗せる。 ゆったりと見慣れた景色を楽しみながら一日半の長旅が始まる。
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