狸のあだうち ご寵愛いただいた我が身
オボロツキーヨ
一 闇の眼(まなこ)
闇に
山の闇には妖魔が
「皆の者、時は来た。
明石の
運よく逃がれた我らは、ここ六甲の山奥に
あれから我一族は、山に満ちていた流浪の念仏僧たちの怨念を喰らい、妖魔の
「
狸たちが口々に叫ぶ。
鉦叩法師と呼ばれた大狸が
闇に白く浮かぶ小狸が鉦叩法師の背に飛び乗った。
「
白い小さな狸が、赤目を潤ませながら問う。
「
風のように駆けて血が満ちた赤黒い眼が鈍く光る。
「でも、小蓮は消えた。小蓮は
小さな狸が涙をポロリとこぼす。
「内密にしていたが、実は一足先に明石城へ忍び込ませておる」
「そうでしたか。父様、それを聞いて安心いたしました」
駆ける大狸の背の上で、小狸は「ふう」と伸びをした。
赤目が闇夜にチラチラと火花のような光を放つ。
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