セーラー服おじいさんとヤクザJKとスク水おじさんの、誰を救えばいいのでしょうか
酸味
必要な事です。決して遊んでいるとかではありません。
――私は、一体何を見ているのだろうか。
◆ ◇ ◆
人というものは有りもしない、もしくは許されざる事。その二つに対する好奇心というものが比較的強いように思える。
前者はまともな例を上げるのならば陰謀論者。まともでなければ厨二病。
後者は破滅願望や愉快犯。背徳の快感等だろう。
かく言う私もその二つを合わせたようなものに非常に悦楽を得る性質を持っている。
一つは異世界転生というものであり、一つは他者を蹂躙するというもの。……もちろんこんな思考をできている時点で人格破綻者だということは自己認識している。
けれど、本能というものは理性で歯止めを効かせることができようとも決してその本能が消失することはない。
”仕方ない”で諦めるには早いのかもしれないが……まあ、無理なものは無理だ。
……あぁ、そういえばもう一つ私の特徴な性質があった。
私はかなり重度な怠惰癖を持っている。
簡単に言えば怠け癖だ。
面倒くさい事柄を極度に嫌悪し、楽であること、もしくは好む事のみを率先的に行う。そのため同時に他人に奉仕することも嫌いだ。
虐殺願望を持ち怠惰癖で欠如した協調性。それに加えて有りもしない異世界転生を心から強く望んでいる。
……自分自身で宣うのはおかしいように思えるが、私という人間は”社会不適合者”を体現したような性格をしている。
これまた改善する気は一切無いが。
もちろん、これらは”そういった性格をしている”だけであって”そういった行動をしている”訳ではない。
行動と性格。たった二文字の違いだが、ただの変なやつか、完全なる人類の敵かという大きな違いが生まれるので違えないでもらいたい。
けれどそんな事を考えていたからだろうか。私はその日トラックに轢かれた。
◆ ◇ ◆
と、言う事で導入部分をたらたらと話したのだが私なりに重要である点を考えてみる。
すると二つの推測が浮かび上がった。
一つ、私自身が”虐殺願望”とか”破滅願望”とかいう、他人を破滅へ追いやりたいという願望があったこと。
きっとこれが今の奇々怪々な状況を作り出した自らが干渉し得る中で最も大きな間接的要因だろう。
二つ、私自身がトラックに轢かれたこと。
どうやらトラックに轢かれるという死因は誰が考えずとも多いと思ってしまうがそれは違う。割と少ない方だったはずだ。
とはいえ知っている人がいるかどうかわからないが、とある誰かが”異世界転生する原因”とやらを調べていたのだ。
そこではトラックでの交通事故が一番に上がるらしい。
……まあ、創作物の話なのだから何を言っても無駄だとは思うが――そういうことなのだ。
そうして彼は思考の渦から意識を現実へと戻した。
――やはり、何だこれは。
視界に写ったものを見て、私は再び同じ感想を呟いた。
……まず現状を把握するために、常識的な物から上げていこう。
一つ、蒼い空。
二つ、住宅街。
三つ、踏切遮断機。
三つしか、ないのか。
いや、冷静になって考えると例外を除いた人間が存在していないことが最もおかしい。
……とはいえ視覚の中心にあるものが異常すぎてその事実が霞んでしまうのも仕方ないだろう。と弁明させてくれ。
私は再び頭を抱えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます