Alive ~生きているということ~(仮タイトル)

RR

プロローグ

 ――風。


 いや、正確には風ではない。

 ではこれは何なのだろうか。

 思えば不思議なことがある。

 

 ――世界が、逆さまだ。

 

 そうか、私は落下しているのか。


 目の前にはマンションだろうか。

 逆さまなので見にくいのだが、そこそこの高さの建物があるようだ。

 上を見れば――いや、私は今落ちているのだから普通であれば下である方向、つまり落下先は、見たところ崖のようだ。


 恐らくは、目の前のマンションから何らかの理由で落ちてきたのだろう。

 その理由がいまいちはっきり出てこない。

 

 でも考えるだけ無駄かな、もう崖はすぐそこだ。



 そうして少女は若くしてこの世からいなくなった。

 自分がどのような経緯でこのような状況になったのか、はたまた自分の両親も思い浮かべることもなく。

 いや、両親については思い浮かべなかったが正しい。



 ――彼女の両親は既にこの世にいないのだから。

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