一話
「この舟で帰れる?」
女は宇宙船に向かって尋ねたが、返事はない。それでも、彼女は返事を待った。
突然、煙を吹き出した。それが返事だと思ったのも束の間、宇宙船は上昇を始める。
「待って!」
彼女の声はエンジンの爆音にかき消される。
宇宙船の航跡には煙が、そして、煙が晴れた後には空まで続く階段が残った。
最初、彼女は意味が分からずにいたが、決意を固めた表情でその階段を登り始めた。
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