第58話 共闘

ナナとカカはお互いに協力をしていなかった。

そのため、ナナとカカが同じタイミングで攻撃をし、互いの体が邪魔になってしまうことがあった。

「邪魔よ!」

「こっちのセリフだ!」

ロロは図体が大きい割りに、二人の攻撃を一度も食らわなかった。

ロロは突進する。二人は避けた。

今までなら、これだけで良かった。

だが、ロロは急停止すると、ナナが避ける方向へ大きく跳んだ。

ナナは目を見開く。

反撃しようと虎に姿を変えた。

しかし上から落ちてくる重量のサイを、虎がどうにかできるはずがない。

ナナは落ち潰される。内臓が破壊される前に、カカが助け出した。

「もっと考えて行動しろ!」

カカはナナに怒鳴った後、ロロを探した。

いない。どこにも。

突然、後ろから衝撃がきた。

「がはっ!」

背中を蹴られ、カカは前方に吹き飛んだ。

壁にぶつかり、口から血を吐いた。

ナナはカカが蹴られる瞬間を見ていた。

ロロは何もないところから現れると、瞬きする間に馬に変わり、後ろ足でカカを蹴飛ばした。

一瞬のことで、ナナは助けに入ることができなかった。


再びロロの姿が消える。

目を凝らしても見つからない。

一体どこに……?

目の前にロロが現れた。サイの手による打撃がくる。

慌てて、両手で防ぐ。衝撃を殺せずに、カカと同様、壁まで飛ばされる。

壁にぶつかる前に、カカがナナを体で受け止めた。

「2度助けた。これで借りは無しだ」

借り?なんのこと?

「もしかして、化け物の手からあなたを助けたことを言ってるの?

気にしなくていいのよ、あんなこと」

「うるせえ。俺が気にするんだよ。

……おい、ナナ。あのロロとかいうやつ、かなり強い。協力するぞ」

「あら、あなたが協力を?」

「必要性を感じただけだ。お前のことは、だいたい分かってきたしな」

ナナは首をかしげる。

「私の何を分かってきたの?」

「お前が超がつくほどのおせっかいなアホ子ってこと」

「誰がアホ子よ!」

カカはにやりと笑う。

それを見てナナはぱちくりと瞬きすると、肩をすくめた。

「姿が消えるからくりは、おそらくカメレオンだわ。

そして、次に脅威なのが、姿を変える異常な速さ」

「なるほどな」

「一人では勝てないわ。でも……」

「二人なら勝てる、だろ?」

ナナは頷く。

二人は改めてロロと向き合った。


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