第51話 命懸けの作戦
ララとナナの立てた作戦は次の通りだ。
いつものように、危なくなったら後退するような作戦ではない。
まず、Bチームが一斉に化け物の腕を引き付ける。逃げてもいいし、腕を切り落としてもいい。とにかく、他の人に関心が移らないようにする。人数はレレさんも入れて3人。
Aチームは化け物の目を攻撃する。そして、出てきた本体を殺すのだ。人数は6人。
Cチームはサポートだ。一番気楽に聞こえるかも知れないが、そうではない。
この作戦では、普通ではない速度で人が死んでいくことが予想される。
全員をそれぞれに配置すると、1人かけたときの損害がひどくなる。
それゆえに、Cチームは誰かが死んだときの変わりとして、サポートをしつつ、待機するのだ。私とケケ、ココなどの4人だ。
参加者の中で、化け物を殺す必要性は本当にあるのかと質問をした人がいた。
制限時間まで、逃げ切るだけではダメなのかと。
ララは首を横にふった。
「人が死ぬペースが遅くなってきたとはいえ、最後まで全員が生き残る可能性は、限りなく低い。
それに今、開始されてからどれくらいたったのか分からなくなってしまったし。
終わりが見えない中で、化け物から逃げ続けるのは、精神的にもきついと思うよ」
ナナもその意見に同調した。
ララのいうことは正しかった。
茜達は知らないが、テテは参加者が全滅するまで、大広間の扉を開ける気はなかった。
「作戦と呼べるような複雑なものではないけど……」
ララは深呼吸をした。
「Bチーム、お願い!」
「おう!」
ルル達は化け物の腕に向かって走った。
化け物は腕の近くにいるものを狙う。
Bチームは上手く化け物の腕を化け物から離れた場所にとどめた。
「Aチーム、行くよ!」
各々が動物に変わって化け物に突進した。
化け物に近づいたとき、二人が化け物から生えている足に蹴飛ばされた。
「ユユ! ニニ!」
ララが叫ぶ。
「俺たちのことはいい! とにかく化け物を!」
「分かった!」
「ぎゃっ!」
Bチームの1人が化け物に食われた。
見れば化け物の手のひらが口になっている。
Cチームがフォローに入った。
ララ、ナナを含めた4人は、化け物の目にたどり着いた。
危険を察知した化け物は、目を口に変えて4人を食べようとした。
4人は横に避け、化け物の歯茎を、鋭い爪で抉った。
化け物の血が、その口の奥に降り注いだ。
血を口から出そうと、口の奥から、顔が出てきた。老人の顔だ。ひどく憔悴して、目の焦点は会っていない。
「おおおおおおおおお!」
老人は咆哮する。
肉塊がぐにゃりと形を変えた。
蟻地獄のように、4人の体が沈んでいく。
ナナは肉塊の一部に手をかけたが、それもぐにゃりとへこんで、這い上がるのは至難の技だった。
1人の悲鳴が聞こえる。血が化け物の体を伝って流れてきた。
ナナは足元を見た。たくさんの化け物の口が開いている。
Cチームが動く。
私はナナの元へ向かった。
ケケとココでナナを助けに行き、天井で待機している私の腕を利用して、ナナは肉塊から抜け出した。
次にララを助け、Aチームの3人を助けることができた。
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