第38話 解決策②

メイドは料理を持ってきた直後、立っているのだ。

公平にするためかと思ったが、もしかして違った意味があるのではないだろうか。


私の頭は不思議とよくまわった。


そして毒についてだが、この毒は控えの間での試練と同じものだと判断した。

確か、その試練では、毒はガス性のものだった。

もし、毒ガスが空気中に広く分布してしまったら、関係ない人まで巻き込むことになる。

しかし実際に毒ガスの被害を受けたのは、罠にかかった当人だけだ。

つまり、毒の性質は、至近距離で効果があり、空気に触れたものは無害化するのだ。

加えて、水に溶ける性質もあるのではないかと予想した。

そうでなければ、料理を食べた人に毒の影響がなくなってしまうからだ。

水分だと判断したのは、控えの間での試練と今回の試練との大きな違いが、毒が仕掛けられている場所の水分量だからだ。

それに、学校の授業で、水に溶ける性質のものが意外に多いことを習っていた。


おそらく毒は料理を運ぶ前に入れているのだろう。

すると、水分に溶けている部分は平気だが、溶けきれなかった部分は空気中に散布される。

その為、料理を持ったメイドは目の中に毒が入らないように目をつぶり、息も止めるのだろう。

そうする必要があるのは、毒入り料理の近くにいる2、3人だけだが、一部のメイドだけでは怪しまれるので全員でやっているのだと推測した。

よって、毒入り料理を持っているのは一番体がこわばっており、ギリギリまで目をつぶっているメイドだ。


ここまで、たくさんの仮定を真実だとして考えてきた。

1つでもはずれていたら、意味がない。


考え込んでいる間に次の料理が運ばれてきた。




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