第37話 解決策

この試練において、全員が死ぬことは既に決まっているかのように思われている。

だが、私が(適当な思いつきだったとはいえ)ヌヌを試練に参加させたことで事態が変わった。

ヌヌはルール説明の時に、『部屋から出るのはルール違反』だと言った。そして『ルール違反かどうかはヌヌ自身が決める』とも。


つまり、ヌヌが違反だと言わなければ、部屋を出てもかまわないということだ。


しかしヌヌは王様に仕えるメイドだ。この試練に参加するときの決意から、忠誠心が強いことがよく分かった。ルール違反を決して見逃さないだろう。

だから、ヌヌが違反を見逃すのは死んでいる状態の場合である。

たまたまヌヌに毒入り料理がまわってくれば都合がいいが、そうなる前に何人死ぬか分からない。

となれば、他殺しかないだろう。

だが、私は今、なんの武器も持っていなかった。

絞殺も考えたが、殺しきる前に取り押さえられるだろう。

それに、人はあまり殺したくない。

私は、いじめられていたことからも分かるが、人を傷つける行為は極力避けたい性格だ。

自分の命がかかっている場合は仕方がないという性格でもあるが。


考えた結果、ルールの範囲内で、ヌヌを殺せばいいのではないかという結論に達した。

殺す……。考えただけで罪悪感に襲われる。

誰も関与しない状態で人が死んだ場合、それは事故だといっていい。だが、同じような状況でも、誰かの意志が介入したならば、それは立派な殺人となる。


よほど顔色が悪かったのだろうか。

ココが心配して声をかけてきてくれた。

くよくよしていてはダメだ。

やるときは殺らないと。


私は毒をどうやって見分ければいいのか、考えた。

どういった方法で、毒は入れられているのだろうか。

メイドの仕草、毒とそうでないものの違い、少しでいいから見つけるんだ。

試練が始まってからの様子を思い返した。

思っていたよりも早く、私はメイドの仕草の不思議な点を見つけた。



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