第24話 夕食にて

家に帰るとトトがクッションに顔を埋めてぼーっとしていた。

私が帰ってきたのを見たトトのお母さんが

「ご飯よー」

と声をかけた。


今日のご飯は肉じゃがだった。じゃがいもにしっかり味がついていてとてもおいしい。


食事をしながら、トトの家族と今日自分が何をしていたかを話した。

トトのお父さんはいつも通り仕事をしていたと言い、お母さんは洗濯をした後に買い物に行ったと話した。トトは茶碗洗いをした後に友達の所に遊びに行ったらしい。私はお風呂掃除をした後に町へ遊びに行ったと話した。

町での様子を話す過程で、レレさんと見つけた貼り紙について聞いてみた。

「ああ、それは『上奏権獲得試練』のことだね」

トトのお父さんが答えた。

「確か、王様に自分の意見を伝えたい人が集まって、上奏権を求めて試練を乗り越えるものだったと思うわ」

そう答えたのはトトのお母さんだ。

「どうやったら参加できるの?」

「え?茜、参加したいの?」

トトが驚いたように言った。

「大変な試練ばかりらしいよ。茜が怪我をしないか心配だよ」

「トトは心配性だなー。大丈夫だよ」

不安そうにこちらを見るトトに安心をさせるために言ったが、試練の内容すら知らないので、大丈夫かどうかは分からない。

でも、王様と話せるなら、今までにない、貴重なチャンスだ。

「申し込み書なら『役所』でもらえるはずだ。だが、トトが言う通り、とても大変なものらしい。なぜなら、上奏権を手に入れた者の意見はほとんどこれからの政治に取り入れられるからだ。そういう点も含めて、参加には覚悟がいるが……。まあ、とりあえず明日『役所』に行ってみるといい。具体的なことは役所の人が知っているらしいから」

トトのお父さんはそう言うと、「ごちそうさま」と席を離れた。

私もその後すぐ食べ終わり、部屋に戻って、「役所」に行く準備を始めた。

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