十三章 双冠の誓約

戦史

[ 戦 史 ]


日露戦争

「千島列島の返還期限超過」という大義名分で、1905年2月8日に皇國がロシア帝国に宣戦を布告して始まった戦争。世界初の総力戦に発展し、機関銃や塹壕、制空権といった新概念に翻弄されながら、両国は崩壊の瀬戸際を戦っている。


【皇國陸軍 初期戦力】(定員)

14個歩兵師団 21万人

4個焼撃大隊  2000人

1個独立戦闘団 1.2万人

空挺団+航空隊 6000人

    以上総計23万人→このうち18万が満州へ


【ロシア満州軍 初期戦力】(定員)

6個歩兵師団   6万人

2個シベリア軍団 6万騎

5個騎兵団    12万騎

    以上総計24万人



「旅順湾攻撃」 1904年2月8日~2月11日

皇國 :死傷 245

ロシア:死傷 4000 / 投降 2万9000

 旅順陥落、ロシア太平洋艦隊の壊滅。奇襲からのあまりに早い降伏でロシア軍は戦力配備が間に合わず、皇國陸軍の鴨緑江突破を許し、2月20日には営口を失陥。皇國は4月までに遼東半島全土を制圧する。


「1904年バルバロッサ作戦」1904年7月7日~9月28日

皇國 :戦死 876 / 戦傷 2214

ロシア:戦死 8000 / 戦傷 4万2000 / 投降 6万3000

 皇國は七夕より満州全土で電撃戦を展開、3ヶ月で1000kmを前進してウラジオストクを陥す。ただしロシア満州軍司令部はハルビンへ逃れ、残存戦力に中央アジア方面からの援軍40万を統合し「帝国極東軍」へと再編。松花江ラインへ反撃に出る。



【松花江戦開始時 皇國陸軍】

 総計23万人(全部隊が前線へ)


【松花江戦開始時 帝国極東軍】

35個歩兵師団   33万人

4個シベリア軍団 10万騎

3個騎兵団    7万騎

    以上総計50万人



「松花江の戦い」1905年1月8日~1月30日

皇國 :戦死 1万1042 / 戦傷 2万1273

ロシア:戦死 8万7500 / 戦傷 17万8000 / 投降 5万3800 / 溺死10万以上

 皇國側の死者が二桁跳ね上がっていることから分かる通り、言わずと知れた激戦。松花江が一週間血で染まり、下流域の市民からは不満が噴出した。この攻勢でロシア軍は50万のうち40万を喪い、戦争の決着はついたかに思われた。――しかし。



【如月反攻開始時 皇國陸軍】

14個歩兵師団 18.5万人

4個焼撃大隊  2000人

4個機甲聯隊  5600人

中央即応集団  1400人

陸軍航空隊   6000人

    以上総計20万人


【如月反攻開始時 帝国極東軍】

残存10万人+欧州方面増援100万人→総計110万人



「如月大反攻」1905年1月31日~2月18日

皇國 :戦死 8352 / 戦傷1万6510

ロシア:戦死 4万4000 / 戦傷 13万8000 / 病気 2万8000

 皇國陸軍は松花江ラインを放棄し、硝安爆薬を使った対人地雷を仕掛けつつ、徹底した焦土戦術で段階的に退却。ロシア軍は「5km進むごとに1000人が触雷する」と呼ばれた強行進軍によって、大損害を出しながらも半月で250kmを反攻。戦線は、満州総軍司令部のある奉天の目前、四平まで後退する。

 同時に沿海州では『英雄ノ凱旋』作戦が開始されたものの、仙台鎮台のまるまる1個聯隊2500人が壊滅する損害を出して頓挫、ウラジオストクは包囲されてしまう。この戦線分断により、満州方面は「西部戦線」、ウラジオストクは「東部戦線」と呼ばれるようになる。

 なお、補給限界を超えた増派でロシア軍では医薬品や食糧が不足するようになり、衛生環境の悪化や栄養失調で病気に倒れるロシア兵が目立つようになってきた。


「アルチョームの戦い」1905年2月19日~2月28日

皇國 :戦死 552 / 戦傷 1608

ロシア:戦死 1320 / 戦傷 4100 / 病気 3000

 ダンケルク作戦の実行中に行われた、ウラジオストク北部近郊のアルチョームにおける遅滞戦闘。七三ななじゅうさん高地北堡塁を巡って熾烈な攻防戦が行われた。結局、勅令第227号の発令に合わせる形で皇國陸軍は市内へ後退する。なお皇帝命令第21号により、ロシア軍は奉天目前にして西部戦線への攻勢を中断。総力をもってウラジオストクを奪還せんと東部戦線へ殺到する。


「ダンケルク作戦」1905年2月19日~2月28日

 本土から予備師団とありったけの近接火器と弾薬を輸送し、代わりにウラジオストクの民間人35万を詰めて送り返す作戦。掻き集めた船団は滞りなく4個予備師団4.8万人と武器弾薬を降ろし、市民をロシア領内へ航送した。これにより絶望的だった東部戦線の防衛に光が差し込む。



明治38(1905)年3月1日 現在


【帝国極東軍】

騎兵歩兵あわせて残存88万人


【皇國陸軍】

① 東部戦線

 4個歩兵師団 5.6万人

 4個予備師団 4.8万人(新規)

 2個焼撃大隊 1000人

 中央即応集団 1400人

② 西部戦線

 10個歩兵師団 10.4万人

 4個機甲聯隊  5600人

 2個焼撃大隊  1000人

 陸軍航空隊   6000人

以上総計22.3万


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[皇國戦力詳細]

① 東部防衛総隊 10.7万(東部戦線)

 ◎増強集団:中央即応集団・第1焼撃大隊・第3焼撃大隊

 ◎第1軍:大阪鎮台・仙台鎮台・第十四師団・第十七師団

 ◎第2軍:近衛師団・第十一師団・第十五師団・第十六師団

② 満州総軍 11.6万(西部戦線)

 ◎司令部直属:第2焼撃大隊・第4焼撃大隊

 ◎第3軍:東京鎮台・広島鎮台・北海鎮台・第九師団・第十二師団・第一機甲聯隊・第二機甲聯隊

 ◎第4軍:熊本鎮台・名古屋鎮台・第八師団・第十師団・第十三師団・第三機甲聯隊・第四機甲聯隊







総論 これまでに両軍合わせて70万人が戦死。既にクリミア戦争の総戦死者を上回っており、世界は「人類史上最悪の戦争」として非難、もしくは興味の視線で傍観している。願わくば――この10年後、彼らが身を持って知ることにならなければよいのだが。

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