俺とギターとロックンロール

二輪ほむら

俺のギターヒーロー

 私に音楽は向いていないと思い始めたのは、小学校の頃だった。

 低学年の頃の鍵盤ハーモニカでは、指が思うように動かなかった。1曲通して弾くことも不可能だった。一向に改善されることは無く、そのまま中学年になった。

リコーダーでも同じ理由で苦労した。そもそも穴の押さえ方を忘れていることも度々あった。集団での発表では、吹いているふりだけして沈黙していた。

中学校では、あまり音楽の授業に出ていない。精神的な問題で授業に出られない状況になったのだ。

 中学校3年の1月頃、漫画「ジョジョの奇妙な冒険」に興味を持った。その影響でロックを聴き始めた。最初に聴いたのはクイーンとAC/DCだった。

その後、ネットで洋楽中心にロックの情報を探し始めた。ハードロックやヘヴィメタルを中心に聴いていた。速弾きで知られるギタリストの曲もいくつか聴いたが、弾く気にはならなかった。

 高校1年の1月。イギリスのヘヴィメタルバンド、ブラック・サバスの曲「アイアン・マン」を聴いた。ギターリフを主体とした曲だ。気付いたらリフに合わせて頭を振っていた。「このリフを弾けたら楽しいのではないか」と思った。初めてギターを弾くことを考えた。

 ブラック・サバスというバンドは以前から知っていた。ギタリストはトニー・アイオミという名前で、彼の作ったリフがヘヴィメタルの原型となったという。

 ギターを始める前に、いくつか心配なことがあった。家族が許すだろうか。機材には金がかかりそうだが、足りるだろうか。これまではどんな楽器を使っても1曲も演奏出来なかったが、継続出来るだろうか。

 父にメールで相談した。返信には、ギターは持っていると書いてあった。譲ってもいいらしい。費用と家族の許可に関しては問題なかった。

 継続出来るかどうかは自分で考えた。しばらく考えて、「多分出来るだろう」という結論に達した。これまでに自分の意志で始めた趣味は、どれも少なくとも1年以上継続していたからだ。ギターを弾きたくなったのは間違いなく自分の意志だ。

 こうして私はギターを始め、今も続けている。トニー・アイオミに一歩でも近付くために。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

俺とギターとロックンロール 二輪ほむら @wno-41592

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ