アースドラゴンの正体

 彼女からアースドラゴンを食べるお誘いを受けた僕。スマホの画面に映し出されたアースドラゴンの御姿に俺は目を見開いた。


 体の色は濃い灰色だな。しっぽは短い。牙は小さい。特に目立つのは前脚の大きな爪とナスのような大きな鼻だ。


「これはモグラだね」

「あっ、モグラって言うんだね。漢字だとこうだからアースドラゴンって思ってた」


 スマホで目にした漢字は『土竜』


 たしかに直訳すればアースドラゴンだ。うん、ある意味納得、納得。


「かわいいでしょ。しかもおいしいんだよ」


 世界一の美女の笑顔だ。一方、俺は少し顔が引きつっていた。


「お、おいしいんだ」

「うん、とっても。食べたことないの?」

「食べたことないな、ははは……」


 正直日本中どこ行っても、モグラを食べる習慣ないでしょ?ただ、恐怖心よりも好奇心が上回ってきた。


「食べたくない?」

「そんなことないよ。食べてみたい」

「本当?よかった」


 彼女が糸のように目を細めて笑った。僕もつられて顔がほころぶ。


 僕たちは明日の夜、彼女のうちでモグラを食べることになった。


 夜中、期待と不安が入り混じった奇妙な気持ちのまま床についた。しかし、数刻後僕は布団から飛び上がった。

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