プロローグ2 死神アシナ
目を覚ますと、そこは森の中だった。
通常キャラクターを新しく作成すると、はじまりの町「ステミナ」の中央噴水前にログインする。
そこからチュートリアルをこなし、新しい世界に慣れていくのだ。
しかし、今は暗い森の中、時間は現実と変わらない夜23時ごろだろうか。
周りには木しかない。じめじめとした雰囲気に明かりもない。
満月に近いように見える。今日か明日には満月だろう。
月光のおかげで動けないほどではなさそうだ。
とりあえず、メニュー画面を開き、地図を表示する。
「No Data」
地図が表示されなかった。
新ジョブ用のチュートリアルということもあり、
今までと違った方針で始まるのかもしれない。
とりあえず立ち止まっても仕方ない。
アイテムボックスにある初期装備をすべて装備し、新しいキャラに慣れることにする。
「装備は。。。えーっと『収穫用の鎌』しかないな。」
装備しても能力が全然伸びない。
無いよりはましだろう。
チュートリアルマップでそんなに強い敵がでてくるとは考えづらい
道なき道を歩き出す。
そこでふと気づいてしまった。
メニューアイコンのログアウトの欄が灰色になっていて選択できないことに。
「ログアウトができない?チュートリアルだからか?」
少し嫌な予感がおこる。早めにチュートリアルを終わらせよう。
しかし、どれだけ歩いてもチュートリアルが発生しない。
喉が渇いてきた。
近くにあった川で水を飲み休憩だ。
本来であればこんな水は飲めないのが一般常識だ。
だがソネストアのゲーム内では水は川や井戸、湖などからそのまま飲むことが可能だ。
「これだけ歩いて何も起きないって、本当にひどいバグだな。」
不満だって溜まってくる。
またあてもなく歩くかと、移動の準備を始めたところでスライムのような魔物が現れた。
「キングメタル」このソネストア内ではレアモンスターだ。
このモンスターはドロップは銀貨、特に倒してもドロップ面ではうまみはない。
しかし、経験値でいうと終盤のボスほどの経験値を手に入れることができる。
だが、今の攻撃力ではダメージを与えられないだろう。
討伐は諦めて、相手に攻撃されないように慎重にその場を離れていく。
今キングメタルからの攻撃を受けてしまっては、
ステータス的に間違いなく死ぬだろう。
しかし、キングメタルの移動速度が速く、襲ってきてしまった。
HPが0になってもどこかの街で復活するだけだろう。
諦めつつ、とりあえず距離を取るため素早く大鎌を横に振りぬく。
そこで予想外のことが起こった。
大鎌はキングメタルを半分に切ったのだ。
そして一撃。
ダメージとは関係なく単純に倒せてしまった。
慌ててジョブ『死神』のスキル欄を確認する。
未取得のスキルも含めて一つずつ確認していく。
「あった...」
目的のスキルを見つけた。
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絶対切断:大鎌の刃を利用し相手を引き裂く、破壊不能オブジェクトも含み全てを切断が可能。(効果は任意)
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大鎌の先端や棒部分に絶対切断の判定はなく、刃で刈り取るようにすると、どんなものでも絶対に真っ二つにしてしまう能力らしい。効果は任意というのは例えば大地を真っ二つにしてしまうなどが発生しないようにコントロールできるということだろう。
とりあえず、その辺にあった木で試してみる。
大きな木がスパッと切れてしまった。
「これはいいな。」
うまく使えばかなりの強さを誇るだろう。
どんな敵も真っ二つになってしまえば、HPの残量など一瞬でなくなる。
つまり一撃必殺なのだ。
「これはいいぞ。どんな敵でも倒すことができる。ソネストアでのエンドコンテンツであるボスモンスターたちもこの力があればソロでも討伐できるぞ。」
笑いがこみあげてくる。
はたから見ると完全に危ない人間だろう。
黒いローブに顔を隠した男が不気味な笑い声をあげながら
木や岩などに試し切りを行い練習しはじめたのだ。
そこからは無我夢中で森の中を走り魔物を討伐していった。
出てくるモンスターを片っ端から切断していく。
気づいたらレベルやスキルポイントが、カンストしてしまった。
討伐アイテムはアイテムボックスに格納してるので、お金には困らないだろう。
こうして、死神アシナの冒険が始まった。
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