美しい雨と、美しい彼女の話
のらうさぎ
序章
雨が、降った。
雨は、世界の色を少し変える、と思う。
天からの恵は、草木の肌を濡らし、道路を歪なドット柄に仕上げ、薄汚れた現実を綺麗さっぱり洗い流してくれる。気が、する。
そんなお恵みの時間が去ると、世界は天に感謝するかのようにきらきらと輝きだす。神も、七色のテープを投げて祝福してくれている。そんな気がしてくる。
僕は、雨が好きだ。
雨そのものが、雨音が、それにより変わる景色が、ぺトリコールが、全てが好きだけれど。でもそれらは、大して理由にならないと思う。
僕が雨を好きな理由はとても不純で。
「ほら、雨!雨だよ!早く帰るよっ」
雨が降ると、こうして幼馴染の女の子が話しかけてくれるからだ。
彼女の名は秋森美雨。
文字通り美しい雨の日に生まれた、雨よりもはるかに美しい人だ。
彼女が笑うと、世界は、雨に包まれる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます