友達

@Zapto129

友達

ーピコンー

親友「彼女が出来たから紹介したい。家に来てくれるか?」

ーーーーー

突然親友からラインが来たからびっくりだ。

それになんだって?彼女ができた?今は夏休みだぞ?

そんなアホな事あるか、あいつはあいつはおとなしくて男らしさのかけらもないやつだぞ?。

確かにあいつは勉強はできるし、落ち着きはある。だが、今の時代にそんな消極的な男と付き合いたいと思う女がいるとはな。いや違う。

もしかしてお金か?

あいつの家は豪邸だ、庭には噴水があるし、きれいなバラが咲いている。

となると彼女は優しい天使か金猛者の悪魔のどっちかだな。

最近は勉強が忙しくて親友とはあまり遊べていない、これはチャンスだ。

せっかくだし遊びに行ってやるか!


眩しい太陽が限りなく昼間を熱く照らすなか、俺は家の門をくぐった。

ーバタンー

友達の家のドアを勢いよく開けた。いや鍵ぐらいかけろよ、まあいいや。

俺「うおぉーい!来たぞぉー!早く彼女を紹介してくれよ!」

大人しそうで可愛い女の子が奥からでてきた。

女「あなたがお友達さんですね。すみません、彼お菓子買ってくるって張り切っちゃって、ついさっき家を飛び出しました。」

俺「え、まじかよ。あいつ絶対長くなるから、ちょっと探してきます。」

女「それなら大丈夫です!今ライン来ました!なるべく早く帰るそうです。」

俺「あいつのなるべくってあまり信用できないけどな。まあいいや、リビングお邪魔しますー。」


彼女「彼が来るまで少し話しません?」


彼が来るまで時間がかかりそうだし、せっかくだから彼女と話すことにした。


彼女「彼とはどういう関係なんですか?彼の話を聞いているとすごく中が良いように聞いています。」

俺「あいつとは小学校からの幼馴染なんだ。小さい頃からよく遊んでいる。最近は受験が勉強が忙しくてあまり話せてないけどな。」

彼女「でも仲が良くて良いじゃないですか。」

俺「最近はそうでもないんだよな。」

彼女「なにかあったんですか?」

俺「受験だよ、俺はあいつと違って勉強があまりできないから遊んではいられないんだ。だから話す機会も減って今じゃマンネリだよ。」

彼女「じゃあ今日は彼に家に誘われて楽しかったんじゃないですか?」

俺「その通りだ、早く帰ってこねえかな。」


そのあとも会話は続き、気づいたら夜になっていた。でも、彼が帰ってくることはなかった。ラインを送ったが反応がない。

流石に俺は心配した。インターネットで地元のニュースを確認したが、それらしき事件は載っていない。

そこで俺はあることを思い出した。3ヶ月ほどまえに親友とふざけて位置情報共有アプリをお互いのスマホに入れたはずだ。親友がスマホの電源をつけていれば彼の位置がわかる。

さっそくアプリを起動し、彼の位置を確認した。

俺「……」

彼のスマホは電源がついていないようだ。


するとそこに彼女がそわそわしながら、こちらに近づいてきた。


彼女「あの、流石に彼遅すぎませんかね?私心配です。彼はいつもこんなに遅れるんですか?」

俺「確かにあいつは時間にルーズな部分があるし、余裕で2時間遅れてきたりもする。だが確かにこれはおそすぎるな。」

彼女「私、心配なので外を探してきます。」


そこで急に雨が激しく降り始めた、そして雷もなった。


俺「いや、いま出るのは危ない、家にいたほうが良い。」

彼女「でも…」

俺「気持ちはわかるが、今はダメだ。彼ならきっと大丈夫だ。」


そこから沈黙がしばらく続いた。聞こえるのは激しい雨の音と、怒り狂った雷だけだ。大丈夫だといったが、お互いに焦っているのがわかる。


ーピコンー

親友「すまん、探しているお菓子がなかなか見つからなくて時間がかかった。」

ーーーーー


親友からやっと返事が来た。


ーーーーー

俺「いまどこだ?」

親友「隣町のスーパーにいる。」

俺「なんでそんなとこにいんだよ。」

親友「お前が好きだったお菓子が全然売ってなくて。」

俺「バカかお前は!そんな事に時間かけるなよ。せめて連絡ぐらいよこせ。」

親友「喜ぶと思って、。」

俺「俺達がどれだけ心配したかわかっているのか?」

親友「ごめん、考えてなかった。次から気をつける。」

俺「家に帰れるか?」

親友「ごめん、荷物が重くて無理かもしれない。悪いけど来てくれない?」

俺「仕方ない、そっちに向かうスマホの電源を付けて待っていてくれ。」

親友「分かった。」

ーーーーー


俺は彼女に彼が無事であることを話した、すると彼女はわかりやすく安心した。

俺たちは雨が収まってから家を出発した。まだ地面は雨でジトジトしていたが、30分ほどあるくとスーパーについた。しかしスーパーには電気がついていなかった。


ーーーーー

俺「スーパー、電気ついてないんだが、どういう事だ?」

親友「ごめん、営業時間過ぎちゃって、いまはスーパーの隣の倉庫の中にいる。」

俺「なんで?」

親友「雨宿り。」

俺「まあ、いいやそっちに向かう。」

親友「分かった。」

ーーーーー


俺はその倉庫を見つけ彼女と一緒になかに入った。倉庫の中はすごくくらい彼女と俺のスマホの光だけが助けだ。


ーーーーー

俺「中に入ったが、どこだ?」

親友「ちょっと奥の方にいる。」

俺「なんでだよ。」

親友「トイレに行きたくなったんだけど、入り口がどこかわからなくて。」

俺「わかったよ、位置情報を確認するからまってろ。」

ーーーーー


俺「あいつは奥の方にいるらしい、向かうぞ。」

彼女「わかりました。」

俺が奥へ向かうと彼女はゆっくりついて来たが、すごく怯えているのがわかる。

スマホの光にしがみついて、さっきからスマホをガタガタ打っている。もしかして暗いところが苦手なのか。ならはやくあいつをみつけてここを出ないとな。


ちょっと奥へ進むと俺はアプリを起動し、彼の位置情報を確認した。

どうやらもう、すぐ近くにいるみたいだ。半径10メートル以内にいると示されている。


ーーーーー

俺「おおーい、もう俺たちは近くにいるはずだ。早く出てきてくれ、彼女の精神がもたなさそうだ。」

親友「なにかあったのか?」

俺「狂ったようにスマホにしがみついて、画面をカタカタ打ってる。」

親友「あぁ、彼女暗いところ苦手だからな、すまん。」

俺「暗くて周りがよく見えないから、なにか音を立ててくれ、そっちに向かう。」

親友「りょうかい。」

ーーーーー


カランカラン


結構近く後ろの方から金属が地面を打つ音がした。

なんだそっちか、案外近かったな。


俺は振り返ってそっちへ向かおうとした。


カランカラン


俺はおどろきのあまり言葉を失う。

その音はあいつが鳴らした音じゃなかった。

彼女だった。

彼女は鉄パイプをもってそれを地面に打ち付けている。


カランカラン


カランカラン


俺は意味がわからなかった、彼女は気がおかしくなってしまったのか。

俺は震えながら声をかけた。


俺「大丈夫ですか?」


彼女は何も答えなかった。

ただ彼女は、彼女のスマホをゆっくりとこちらに向けた。

スマホの眩しい光が俺の顔を照らした。


俺「…」


俺は理解した。

彼女は最初から暗いところに怯えていたわけじゃなかった。

彼女がスマホにしがみついていたのは怯えていたからじゃなかった。


そして、この女は俺の親友の彼女なんかじゃなかった。


こちらに向けられているスマホの画面を見て俺は理解した。


そこには俺と親友とのトーク画面が表示されていた。





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