カルテNo.5 夜の病院って怖いかエロスなイメージだよね

そして次の日の夜。私はエンジ色のスクラブに白衣のズボンを履いてスニーカーを履いて左手には懐中電灯を持ち1人で旧病棟の出入り口に立っている。なぜそうなった?


話を巻き戻すとソレは昨日の職員会議での事である。


その旧病棟の見回り当番は明日の夜から行われるとの話だったので、最初の当番は誰になるか中々、決まらなかった。他の院内の先生やスタッフは最初は立候補って言う形になったが誰も挙手しない。


ソレもそうだ。誰だって好き好んで怖くて不気味な不可思議な所へ飛び込むような真似をする人は相当、物好きか相当な考えなしか、相当なお人好しくらいだ。


「中々、決まりません。困りましたな。」


病院の偉い人が困り果てた顔をしながら悩ませるように言ってくる。周りは下を向いて誰も偉い人の顔を見ようとしない。もし今、顔を上げて偉い人と目が合うと指名される恐れがある。


「では、ここは公平にくじ引きで決めましょう。あみだくじだね。」


なるほどね。コレはもう天運に任せるしか他なさそうだ。職員はざっと見て20人〜30人程度だからその内の1人にならなければ良いだけの話との事。


私は順番に適当に紙に描かれた、あみだくじの縦棒線に名前を書き、全員が名前を書いた所で偉い人が赤ペンであみだくじをなぞる。


「あみだくじ〜、あみだくじ〜、あみだくじ〜」


やけにノリノリじゃないか偉い人。


「むむっ!えーっと、当たったのは日野桃香さんですね!明日の夜から旧病棟の見回りを宜しくお願いしますね!」


「……」


私は唖然として開いた口が塞がらなかったのは言うまでもないという話。そんで早速だけど今日の夜から旧病棟の見回りに行ってくるのだ。


もう、怖くて仕方がないんだけどさ……


私は意を決してゆっくりと旧病棟の扉を開けると長年使われなかったせいか少しホコリやカビの臭いがしてくるし、懐中電灯で辺りを見回すと、ちょこちょこと蜘蛛の巣が張られているのが分かる。


いや、もうマジで怖いんだけど?寿命が縮まっちゃうよ?

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