カルテNo.4 仕事ばっかりの日々では疲れてしまう

珍しくキャビンは私を制止しようとしてくるのがあからさまに分かる。確かに懸賞金が桁違いだし幹部クラスになると今までの敵とも違ってくる。


「だけどね。キャビン。コレって私しか出来ない事なんでしょ?なんなら私がやらなくちゃでしょ?」


「……」


キャビンは私の言葉に何も言ってこないで俯いて人体模型の骸骨の様に黙ったまま。恐らくキャビンにとっては私に何を言っても無駄なんだろうと考えている。まぁ、何を言われても私は行くけどね。


「カラカラ。私の主人は何を言っても言うことを聞かないキカン坊って言うよりジャジャ馬娘ですわね。アンロック。」


するとキャビンはそう言うとキャビンの見つけているペンダントから杖が現れキャビンはその杖からゆっくりと細長い剣であるレイピアを抜き構える。


「なら、桃香様お1人ではなく、私と一緒に戦わせてもらいます。」


「キャビン。」


「心配なさらず。こう見えましても剣術には多少の腕がありますので。」


「頼もしいわね。」


「桃香様はデス・レイを。私は懸賞金760万マルクの【バックラー使いアリーゲ】を相手します。」


「分かったわ。」


私はキャビンと共にミラージュ・ファミリーの2人に近付きながら歩み始めると、学校中の学生さんや教員達からザワザワと騒めきはじめ注目を浴びながら、一歩また一歩と近付いていく。


私はカーディガンのポケットからペン型のロウソクを天に掲げて変身呪文を唱える。


「ヴァージン・メタモルフォーゼ!」


【ヴァージン・イッツ!ショータイム!!】


そして私のが唱えた瞬間にペン型のロウソクはやけにテンションの高い音で言葉を発して私の目の前に六芒星を描いた魔法陣が現れる。その魔法陣から緊縛の黒いロープが全身に巻き付かれて解き放たれると、私の姿はまるで露出の多い黒のボンテージに包まれた嬢王様であるサドマーゾに変身。


「こ、この人が……」


「まさか、あ、あ、あの人が?!」


「ち、ち、巷を騒がせる魔法使い!」


「「「その名もサドマーゾっ!!」」」

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