カルテNo.2 三十路女。接骨院を開くまでの道のり。

するとミラージュ・ファミリーであるゾディー部隊のプーエは片手にダガーナイフを持ち、ネズミ特有の小回りを効かせたすばしっこい動きでライオンの青年に近づきダガーナイフで突き刺そうとする。


「終わりだちゅ!」


「アイアン・ガード。」


「なんでちゅか?!」


するとライオンの青年が唱えた瞬間にプーエが突き刺そうとしたナイフはライオンの青年に突き刺さる事なく、真っ二つに折れてナイフの刃は宙を舞い地面に落ちる。


「懸賞金190万マルク。ナイフ使いプーエ。終わりだ。フィンガー・バレッタ。」


するとライオンの青年が唱えた瞬間に一瞬だけ姿を消したと思ったけどそれは違い、ライオンの青年がプーエとの距離を縮めて貫手に違い突きをプーエの胸部を貫く。


プーエの胸元から血が滴り落ちライオンの青年は腕をゆっくり抜くとプーエは地面に血の海を作ったまんま静かに無言で崩れ落ちる。


プーエは崩れ落ちた後に全身が灰になり崩れ去ったが地面には逆五芒星の紋様を形どったグレーのピアスだけが残りライオンの青年はそれを拾い上げてズボンのポケットにしまう。


返り血を浴びても眉一つ動かさないライオンの青年に私は背中が凍り付く勢いの恐ろしさを覚える。この青年は敵意を向ける相手に容赦なく更に何も迷わず殺せる人。


それをやり続けているこそ、返り血を浴びても眉一つ動かさないで無表情で淡々と敵を殺せるんだ。


私はあらかじめ出しておいたトォーズ・ウィップを握りしめてライオンの青年が私とキャビンの元へ近付いてくる。何者か分からない以上は気を抜かない。


ミラージュ・ファミリーを倒したからって味方とは限らない。例えミラージュ・ファミリーが敵だとしても敵が一緒なだけで味方とは限らない。


私の心臓の鼓動はライオンの青年が一歩、また一歩と近づくにつれて速くなり、また同時に身体の筋肉の緊張も強くなっていく。


「お前がその鞭を俺に向けない限り、俺はアンタを殺しはしない安心しろ。」


「貴方はいったい誰なの?!」





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