カルテNo.2 三十路女。接骨院を開くまでの道のり。
私はクマ吉の元へ歩み寄り近付いて、クマ吉を抱きかかえたと思った矢先にクマ吉の両方の頰っぺた千切るほどに引っ張る。
「そんな心配は無用よ。」
「へ?ほうなの?(え?そうなの?)」
「えぇ。アンタは机の上でどっかりと寝そべって、書類でも見ながら踏ん反りかえってなさい。」
「ほーい。わはった。(はーい。分かった。)」
「行くわよ。キャビン。家まで案内してちょうだい。」
「かしこまりました。桃香様。カラカラ。」
私はクマ吉の頰っぺたを離して踵を返して部屋を出る事にする。あっ、そういえば扉を蹴っ飛ばして破壊したまんまだけど良いかな?小さい事は気にしない事にしよう。
私は再びキャビンの後ろを着いて行く形で一本道の廊下へ出て少し進んだ先のエレベーターへと向かうとキャビンは後ろを振り向かず私に話し掛ける。
「桃香様。」
「ん?」
「これから先は危険が伴いますわよ?」
「人を勝手に巻き込んでおいて今更ね。」
「カラカラ。それもそうですね。でも……」
「でも?」
「私はどんな時も桃香様の味方でありますし、やる事なす事は着いて行くつもりです。」
「そう。ありがとう。」
そしてエレベーターがやってきて、エレベーターの中に乗ると1階まで降りていき、下に着くと市役所の職員はもう誰も居ない様子。キャビンに案内されるままに扉が閉まっているみたいなので非常口から外に出る。
外はもう暗くなっており街灯が照らされて人の通りも少なくなりながら家路へ向かう。
「桃香様。」
「どうしたの?」
「さっきの続きですが、もし桃香様のピンチの時には私は桃香様の手となり足となります。」
「そう。頼もしいわね。」
「また時には桃香様を守る剣となり盾になり貴女様を守ると誓います。」
キャビンはゆっくりと振り向くと表情はイマイチ分からないんだけど、恐らく真剣な眼差しをしているのが何となくだけど分かる。
私のイメージだと、いつものふざけた感じなんだけど、今は違う。キャビンは死霊魔導師って言っていた。恐らくだけど人より長くこの世に生きているんだと思う。
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