カルテNo.2 三十路女。接骨院を開くまでの道のり。

まさか30歳の誕生日に魔法使いにされて、魔法世界に連れて来られて、願いを1つだけ叶えるから敵を倒してくれだなんて非日常的なモノに付き合うほど若くないのに!もう!


「はぁ……」


「どうしたのですか?桃香様。」


「いや、色々と考え事をしていたら溜め息がね。」


「桃香様。動悸、キツケ、息切れにきゅーs……」


私は間髪いれずに脱力した左腕を鞭のようにしならせてキャビンの顎元を狙う。俗に言うフリッカージャブというやつ。


「まだ、そんな歳じゃないわよ!」


「殴りましたわね!父上にも殴られたk……」


「もう色々とネタで怒られるからやめろ!」


次はキャビンの目ん玉に指を突き立て、エコノミーラインで突き抜けるフィンガージャブ加える。


「目が!目がぁぁああッ!!あっ、私とっくの昔から目が無かったの忘れてました!カラカラカラカラ。」


まぁ、フィンガージャブをした時になんでか知らないけど空洞だったからキャビン自身には目が無いのは確かだけど、どうやって視界を感知してるんだろ?まぁ、どうでも良いけどさ。


「取り敢えず。話は済んだから帰るわ。物件は見つけ次第、また来るからよろしくね。」


「はいはーい。取り敢えず桃香っちの願いは接骨院を開く事は成立だね。あとはミラージュ・ファミリーの壊滅だね。」


「分かってるわよ。それに早速1人を倒してきたわ。確かコレ。換金所に持っていけばお金に変えてくれるのよね?」


私は風の魔女ドレイカを倒した証と言っても間違いないとされるドレイカが身に付けていた薄い緑色のペンダント型の逆五芒星の紋様が入ったネックレスをクマ吉に見せる。


「そうか〜早速、ミラージュ・ファミリーの1人を倒してくれたか……うん、グッジョブだ。桃香っち。だけど……」


「だけど何よ?」


「この色と形、模様からして風の魔女ドレイカ。懸賞金260万マルク。ミラージュ・ファミリーの中では格下の方だ。幹部クラスやボスになれば強さも懸賞金の桁が違う。だから、気を付けてくれ桃香っち。」


「はぁ……やれやれ。」



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