カルテNo.2 三十路女。接骨院を開くまでの道のり。

私は初めにふくらはぎの筋肉を軽めにマッサージしていく。軽めにマッサージしていく事で筋肉に緩みを出し、可動を良くした痛い場所をガシガシ刺激するより遠くからアプローチかけた方が良い。


さらにふくらはぎの外側の筋肉をアプローチしてから反対にふくらはぎの内側の筋肉をアプローチしていく。。ダリウスさんは内返しの捻挫をしたので、ふくらはぎの内側の筋肉を収縮させているので緊張していて硬い。


「大丈夫です?痛くないですか?」


「大丈夫だ。」


私は足の親指の関節を自分の指で把持してグネグネと動かす。難しい技術なんだけど、AKA博多法と言うモノだ。関節のアライメントを整える事で筋肉が緩むと言う仕組み。


患者さん本人は何をされているか分からないけど、これが不思議と筋肉が緩んだり、関節の可動が広がるとされている。


次に足関節のAKA博多法に取り掛かる。ここで注意するのは患者さん本人が痛がるようならやらない事だ。痛いと余計に痛みが酷くなるので優しく慎重にが大前提。


「これは大丈夫そうです?」


「なんとか大丈夫だ。」


「ゆっくりで良いので少し立ち上がってみてもらって良いですか?」


「お、おう。」


私は慎重に足関節のAKA博多法をやった後の治り具合の確認をする為に少し右足に体重を乗せてもらう。まぁ、患者本人からしたら少し嫌だけど確認のためにね。


「どうですか?」


「少しだけ楽だな。」


「分かりました。ゆっくり座ってくださいね。」


ここでのポイントは無理に治さない事。無理に治そうと頑張りすぎると身体に刺激が入り過ぎて悪化させるケースがあるから少し楽になれば、これで充分。


次は足首の固定をする為、プライトンと呼ばれる網目のプラスチック素材の固定具を2つ折りにして患者さんのサイズに合わせる。


網目なので端っこのギザギザをハサミで切り落として、角の部分は丸みを付けてあげる。患者さんが痛がらない様にの心遣いも大事になるからね。


そして湧いたポットのお湯を桶に注いでからプライトンをお湯の中に入れると熱によってグニャグニャになる。

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