カルテNo.1 30歳処女。魔法使いになる

「え?ちょっ、ちょっと!」


「そう焦らずに焦らずに。」


全くマイペースなクマなんだから……


私よりも若い女の子が喜びそうな顔の形をしたクマのヌイグルミだけど声は、もう野太いオッサンって言う嫌なギャップ。


「実は俺っち魔法使いの済んでる世界は、ちょっと前まで戦争だったんだが……」


「戦争だったんだが?……」


オズは寝そべりながら結構なくらいに真面目な雰囲気を醸し出しながら話し始める。


「その戦争は4人の悪い魔女と、その配下によって魔法の世界が支配されかけちってよ……俺っちも他の仲間と協力して倒したんだがよ。」


「……」


私は真面目に聞きながら固唾を飲み込みオズの話を聞くがオズの言葉は私の斜め上の事を言い出す。


「俺っちが悪い魔女の、お色気の罠に引っ掛かってクマのヌイグルミにされちゃってよ……」


「……おいぃぃいいいっ!!!何で?!お色気の罠に引っ掛かってるんのよっ!!」


真面目に聞いた私が恥ずかしいじゃねぇかよっ!


「いや……俺っちも1人の男だからさ!テヘっ☆」


「……」


もうオズの奴は自分の失態を開き直り私もオズの開き直り具合に呆れて声も出ないわ……


「そんで桃香っち…俺の呪いを解いて(ハート)」


「話がブッ飛び過ぎでしょっ!だいたい私は魔法なんか使えた事がないのよ?!」


全く何なのよぉ。いきなりファンタジーな話をして魔法の世界を救えだとかって冗談じゃないわよ。


「フフフ。桃香っち知らないのか?」


「何よ?」


不気味に笑うオズに軽くイラつきながら聞き返す。


「人間でも魔法使いになれるんだぜ?」


「えっ?!ちょっ!それはどう言う事よ?!」


いやいやいや!そんな事があるか!いやっ!そんな事があってたまるかっ!


私は今まで普通の人間として生きてきたのよ。


それに普通は私みたいな中年の年増女よりか可愛らしい女の子が魔法使いになった方が絶対に良いに決まっている。


うん。大人の都合を考えれば中年の年増女の魔法使いよりか魔法少女の方が絶対にウケが良い…


まさか、オズの奴は私に魔法を託して私を魔法使いにする気なのか?!

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