先輩に振られたから、女性不信になったけど。

かにくい

第1話


「私、先に高校に行って待ってるから」

「はい!」


そう一華先輩いちかせんぱいは言って、高校に行った。


一華先輩は僕が好きな先輩だった。とても笑顔がかわいくて、元気いっぱいの先輩が。


一度告白したけど、やんわり避けられた。


でも、先輩は先に待っているって言ってくれた。


だから、僕は一華先輩と同じ高校に受験した。


一華先輩が入った高校は結構努力しないと入れないくらいの学校だった。


でも、僕は先輩のことが好きだったから頑張って勉強して、同じ学校に入ることができた。


最初は結構連絡が取れていたけど、夏の終わり頃から連絡しても既読がつかなかったけど、先輩が受験勉強に集中できるように気をきかせてくれているんだろうな、と思った。


「明日から一華先輩先輩と同じ学校だ。気合いいれていかないと」


僕は改めて告白するシュミレーションをして寝た。





朝、六時に起床する。


長い受験勉強で付いた癖だ。なかなか抜けない。


そして僕は新しい制服に身を包み髪を整えしっかりと朝ごはんを食べて、家を出る。


「行ってきます」


まだ寝ているだろう姉に向けて言う。


なぜ姉だけかというと姉は大学生で一人暮らしをしていて、この春から僕の高校と近いため一緒に暮らしている。


僕は少し緊張気味に学校に向かう。


朝学校に行ったらまず、先輩の下駄箱に手紙を入れないと。


実際に会って告白したいから手紙には屋上に来てくださいとしか書いてない。


久しぶりに会うな。少し緊張する。


でも、大峰裕也おおみねゆうや勇気出します!



 あれから、朝会がありそれから授業をして放課後になった。


 しっかり一華先輩の下駄箱を先輩に聞いて手紙を入れていおいた。


 授業中も気が気でなかった。


「裕也ーどっか遊びに行こう」


高校で新しくできた友達?の神崎夏樹かんざきなつきが声をかけてくる。たまたま委員会が一緒になって話すようになった人だ。


容姿は整っていてきれいな顔をしている。男の僕ですらかっこいいと思うほどだ。


僕はというと…告白前にネガティブになりたくないのでやめた。

別に不細工な訳ではない、普通の顔をしている。

こいつと比べると見劣りしてしまうが。



「ごめん。今日は用事がある。明日行こうぜ」

「おう。わかった。」


それより早く屋上に行かなければ。



屋上のドアを開ける。


そこにはもう先輩がいた。一年前と変わっていないあのきれいな先輩だった。


「せ、先輩」


僕は先輩を呼ぶ。


「裕也この高校入れたんだ」

「はい!」

「それでなんで呼び出したの」

「あの、せ、先輩。好きです付き合ってください」

「ごめん。私彼氏いるから」


え?


「せ、先輩。待っててくれるって言ってましたよね」

「言ったよ。でも私は裕也が入れないと思ったから言ったんだよね」

「え?」

「正直、裕也がめんどくさかったから絶対に裕也が入れないだろうなってところに入ったの」

「え?」

「用が済んだし彼氏待っているからばいばい」




え?待って。僕は止めようとしたが声が出なかった。


先輩は行ってしまった。


僕はずっと勘違いをしていたのか。僕の一方通行だったのか。


あはは。


乾いた笑いしか出てこない。

そして地面が涙でぬれていた。






あれから十分ほど泣き、あほらしくなった。


はは、人生こんなもんか。女子なんてこんなもんか。僕なんてこんなもんか。


はぁ。


帰って風呂入って寝よう。


急いで昇降口を飛び出し、校門を抜けようとしたとき



「ちょっと待って。裕也君」


名前を呼ばれたような気がするので振り返る。


「ハイ。なんでしょうか」


かなりイラついていたので少し強い言い方になってしまった。


そこにはとてもきれいな美人な先輩がいた。

確か、夏樹が言っていた学校一の美少女ってこの先輩のような人なんだろうな。

でも、今の僕には何とも思わない。


「裕也君。あの、」


あーもう早くしてくれないかな。


「す、好きです。付き合ってください」


...............え?


「ごめんなさい。もう一回言ってくれますか」

「裕也君のことが好きなの!」


は?え?まったく分からない。


こんなきれいな人が僕のことが好きな理由が分からない。


でも、僕の答えはどんな人が告白してきても決まっている。


「ごめんなさい」



僕はその場を走って去った。














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