快楽
狐火
プロローグ
快楽、と一言で言いましても沢山の種類がございます。
きっとこの地球にいる人の分だけ、快楽の種類はあるのでしょう。
わたくしが思うに快楽は、代償が大きいほど悲惨で醜く依存性があるものです。
さて、皆さん。この世の中で最も過激で依存性が強い快楽とは何だと思いますか?
そうです、人殺しです。
人殺しほど、代償が大きくて非道なものはありません。
けれどもし、自分の行う人殺しは正義だと信じて実行することで、自分の気づかぬ間に快楽を得ている人間がいたらあなたならその人間をどうしますか?
その人間は本当に、心の底から自分の行う人殺しを正義だと信じていたのです。
わたくしは、何も出来ませんでした。
母でありながら、何も――。
だからでしょう、あんな悲惨な事件が起こってしまった。
わたくしに残された道はただ一つです。けれど今一度、わたくしの最後の告白をどうぞお聞き願いたい。
わたくしが産んでしまった今世紀最大の快楽主義者、Xの悪行の全てを既知とし、そして彼のことを恨んで憎んでやってほしいのです。それがあの子への最高の労いとなるでしょうから。
これも母の愛なのです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます