修学旅行─三日目:夜這い
早いもので、ついに明日で修学旅行も終わる。なんで楽しい時間ってすぐに過ぎ去ってしまうのだろう。楽しく過ごしている人の周りだけ時空が歪められているのではないだろうか。そうに違いない。うん。
「そろそろ性欲がヤバい」
「時間が経つのが早く感じているはずなのに……」
大城と二人で苦しんでいる。また違った意味で時空が歪んでいる可能性が高い。なんてこったい。
「この欲望をどうすべきか」
「とりあえず寝よう」
「そうだな……」
あきらめてベッドに入った。ちなみに、木本は俺たちの動向を暖かく見守ってた。この部屋の中で一番彼女いる歴が長いもんな! 幼稚園から付き合ってるんだもんな! そうなるよな! 大城は言わずもがな、俺は中二からだからな! 先輩の貫禄、マジパねえっす!
☆
夜中、なぜか部屋のドアが開く音がして、俺のベッドが揺れた。わお、大阪の人が怒るような行動しちゃったから怨霊来ちゃったかな?
「コウ……」
「我慢できない……」
「「抱いて?」」
「性欲お化けだったかあ……」
そうかあ、我慢できなかったかあ……
「どうやって入って来たの?」
「木本くんが開けてくれた」
「んー、今回は見逃そう」
はいそこ、安堵の息が漏れてるぞ。
「どうする?」
「先生も寝ただろうし、ちょっと部屋出ない?」
「そうしようか」
できるだけ隠密行動を心がけて、ホテルのロビーにある多目的トイレに滑り込んだ。「多目的ってそういうことじゃない」って言われそう。
しばらくしてから、部屋に戻った。先生にはばれず、無事でした。ていうか、俺の婚約者は性欲高すぎてサキュバスみたいだな。前世サキュバスじゃないの?
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