ダブルデート─帰路
「楽しかった~!」
彩華が帰りの電車の中で満面の笑みで言う。まあ俺にしてはいい策略だったと思うよ。
「クソ兄貴には成仏してもらおう」
「安らかに眠れ……」
たぶんマンションに押しかけて来るけど、ハルとアキがノックダウンしてエルさんに引きずられて行きそう。
「すー、すー……」
乗った瞬間に大城に寄りかかって寝ちゃった香緒里。幸せそうに寝息をたててます。しばらく起きそうにない。
「やべえ俺の彼女かわいい」
「彼女、または婚約者、あるいは妻というのは自分にとってこの世で一番綺麗に見えるものなのだよ」
「勉強になります師匠!」
「ハッハッハ、これからも精進したまえ」
「はいっ!」
「何この茶番」
一生を懸けて大切にしたいと思える人がいるって、それだけで生きる意味になるからね。
「そういえば四人とも左手の薬指に指輪着けてるよな」
「あ、気付いてた?」
「へへっ、婚約指輪だよっ♪」
「愛の結晶っ♪」
「わたしたちの愛は永久不変だよっ♪」
安物のプレゼントなんだけど、本人たちは婚約指輪って言ってる。それならそれでもいいけど、ちゃんとした指輪あげたかったな。結婚指輪はブランドものを買おう。
「師匠、そういうことはカップルに必要なのでしょうか」
「そうだ、プレゼントというものは関係をより良くするのに必要なことだ」
「ふむ、何が喜ばれるのでしょうか」
「俺の場合は婚約しているから指輪だが、まだカップルの段階だろう? カップルの時にしか出来ないことをする、というのはどうだろう」
「検討します、ありがとうございます師匠」
「ハッハッハ、よきにはからえ」
「テンション大丈夫なのお兄ちゃん」
香緒里は最寄り駅に着いても起きず、大城にお姫様だっこされて帰って行った。うらやましくなった三人にせがまれ、交代しながらお姫様だっこさせられた。婚約者がかわいい。ちなみに彩華は一泊して帰った。また夜這いされた。今回も回避したけど。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます