アホコーラと真面目ソーダちゃん

那珂町ぐいと

第1話

皆さんは、コーラとソーダという飲み物をご存知だろうか。まあ言わずもがな誰もが知っている炭酸飲料だ。その中でもコーラとソーダは対極の位置にある。私はいつかコーラとソーダが仲良く手を繋いで歩き続ける未来があっても良いはずだと思う。




〜第一章 やはり何かがおかしい〜


静かな朝の家に響くのは包丁のリズミカルな音。何かをフライパンで炒める或いは焼く音。美味しそうな匂いが二階にまで届いてくる。なんとも言えないこの幸せな時間に浸っているとアタシの部屋のドアが勢いよく開いた。

「ほら、朝ごはん作ったからさっさと起きて準備しなさい」

「あと五分....」

「いいからはやく起きなさい、朝ごはん冷めちゃうから!」

「はーい...」

そう言いアタシは渋々布団から出てカーテンを開ける。心地よい日差しが包んでくれる。そして、外では雀がちゅんちゅん鳴いている。可愛いなぁ、と思いながら制服に着替えて学校に行く支度を整え、一階へと向かう。

「今日の朝ごはんは?」

「今日の朝ごはんは和風定食感を出してみました!口に合えばいいけど」

「美味しそう...、いただきます」

「まだ寝惚けてるの?アホコーラのそういうとこ昔っから変わんないよね」

そう言って彼女は笑う。アホコーラというのはアタシが小学生の頃に付けられたあだ名だ。しかも彼女に付けられたあだ名なので今更変える気にもならない。

「真面目ソーダちゃんはさ、なんで学校じゃいつも冷たいのにこういう時とか二人っきりの時とかめちゃくちゃ優しいの?」

「それはアンタも一緒よ。なんで学校じゃリーダーシップが凄くてピシッとしてるのに二人っきりになるとまるでダメじゃない...」

「だってずっとアレじゃ疲れちゃうんだもん....。少しくらい楽にさせてよ〜....」

「今この瞬間の姿を見せたら一体何人がびっくりするでしょうね?むしろギャップでまた好感度上がるんじゃない?」

「アタシはこれ以上周りの好感度上げなくていいの!むしろ真面目ソーダちゃんからの好感度を上げたいの!」

「はいはい、アンタはいつもそう言うけどさ、私の好感度上げてどうするの?第一アンタ先輩やら後輩やらから告白されまくりじゃない。しかも男女問わず。そろそろ手頃な男と付き合ってもいいんじゃない?」

「アタシは真面目ソーダちゃんと付き合いたいのに!!色んな人が邪魔するんだもん!」

「いい?アホコーラ、まず女の子同士での恋愛はあまり一般的じゃないの。しかもまだパートナーシップもここじゃ制定されてないし、第一の問題として私達姉妹じゃない...!」

「?、それが何か問題なの?」

「アンタそれでよく高校生になれたわね....」

「だってお姉ちゃんの見て今までやってきたんだもん。高校生ぐらいなれるよ」

「なんでさも当たり前でしょ?みたいな雰囲気出しながら言うのよ...」

「あ、お姉ちゃん時間時間!遅刻しちゃう!」

「あら、ゆっくりし過ぎたわね...。今日は走って行きましょうか」

「そうだね、お姉ちゃん!」

「鞄取ってくるわ...」


〜真面目ソーダちゃんside〜

小走りで自室に戻り部屋に入りドアを閉める。何故こんなにも顔が熱いのかわからない。熱はないはずなのに急に熱くなった。

実の妹が私のことを好きって言ったぐらいでここまで熱くなるのはおかしい。いや、おかしいのは今に始まったことじゃない。

ここ最近ずっとこうなのだ。妹の顔を見るたびに胸が痛くなり、顔が熱くなる。これはやはり、何か病気なのだろうか...?と一人で唸りながら部屋をぐるぐる回っている真面目ソーダちゃんなのでした。


〜アホコーラside〜

(やっぱ、お姉ちゃん可愛いなぁ〜!!もう見てるだけでもTHE・癒しって感じ!でもさっきのお姉ちゃんはいつものお姉ちゃんじゃなかったような...?耳も赤かったし、なんか明らかになんかあったよね!?でもそういうところも可愛いなぁ〜!!)

「ふふふ....、ふへ...でへへへ....」

と自分の頭の中だけで留まらず遂には顔や笑い方までおかしくなったアホコーラちゃんでしたとさ。





ーもし願いが叶うのなら。

ーもし、あの子の願いを叶えてあげられるのなら。

ー私は、

ーアタシは、











ーずっと一緒に、このままの方が幸せでいられる。それが多分一番の幸せ。ー

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アホコーラと真面目ソーダちゃん 那珂町ぐいと @Masumurukai58

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