優しいキミに贈る言葉

@ami-shindo

Episode.1「私」

私は旅の途中、彼に出会った。


彼の体は半透明で――

私が幽霊に出会ったのは、これで3回目だった。


私が彼と一緒に旅をする途中、

彼は言った。


「自分探し、って、よく言うけどさ」

「僕からしてみれば、“自分の体がある”だけで羨ましいんだよね」


まさに自分探しの旅の途中だった私には、グサッとくる言葉だった。


「キミも、自分探し中なんでしょ?」


「そうよ」


「キミは、もうとっくに自分を見つけられてるよ」


「え?」


「うわああああああん!」


どこからか、子供の泣き声がして、私はその方向へ駆け出した。


子供をあやしていると、彼は言った。


「優しいキミ。それだけで良くない?」

「自分、ってさ」


振り返って彼を探すと、そこには誰もいなかった。



私は、自分の日本の実家に帰ってきた。

そしていつか、彼が言っていたのを思い出す。


「きっとさ、自分なんてだれも分からないんだ」

「分からないから、生きるんじゃないの?」

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