プロローグ
煌々と街を照らしている月明かり。
この静けさが少女にとっては心地よかった。騒がしかったあっちの世界に比べると、何倍も心地よい。
「人の世界って空気も美味いんだね」
「そうかな? どっちも変わんないと思うけど?」
「使い魔だからじゃない?」
「それって、使い魔をバカにしてる?」
「してないしてない!」
少女は街を見下ろした。
見渡すが、人っ子一人居ない。不思議そうに首を傾げていると、ふわぐわと横を飛んでいる猫みたいな生き物が答えを教えてくれる。
「時間だよ、きっと。もう、人間界では深夜2時だよ? この時間はみんな寝てるよ」
「あ、そうなんだ。だから人が居ないんだね・・って! 人が居なかったら、契約出来ないじゃん! バカァ!!」
「バカとか心外だよ〜。フィオが準備にもたついたからでしょ? 僕は悪くないよ」
「だ、だってぇ・・この格好が・・」
少女は恥ずかしがるようにスカートの裾を抑えている。短めのスカートにフリフリとした衣装。この姿は俗に言う、『魔法少女』みたいな格好だ。
「いやいや、それはフィオが望んだ格好だよ? 僕はそれに合わせただけ」
「た、確かに可愛いのがいいって言ったけどさ・・恥ずかしいよぉ」
「大丈夫だよ。その格好は人間界では需要あるし。ファンがいっぱいつくよ」
「〜〜〜〜〜〜っ!!」
みるみると少女の顔は赤く染まる。
ふと、視線を落とすと一人の男子学生が走っている姿を見つけた。
「あ、第一村人発見!!」
「〜〜♪ 〜〜〜〜♪ 〜〜〜♪」
「・・某ダーツ番組の歌を口ずさまないで」
「第一村人って言うから」
「前から思ってたけどノエルってボケが細かいよね」
少女と猫みたいな生き物は空に浮いた。
月明かりに照らされる少女は『魔法少女』である。
人の願いを叶え、一人前の『魔法少女』になる為に日々奮闘している。そんな少女が、一人の男子学生と出会い少女の魔法少女人生は大きく変わる事になる。
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