第3話 古きものの怨念 中編

その声が聞こえた瞬間に村が次々と黒い靄のようなものに覆われ始めた。

「これは…」

俺がそれを見たとき村長が放送で、

「村でまだ生きている物!今すぐ私の家のシェルターに来るんだ!」

それから数時間後…計300人が集まった。

「村長これはどういうことだ!」

「これじゃあまるであの時と一緒じゃないか!」

村民が口々にそう言ってきた。

「村長あの時とは?」

俺は村民が言ったあることが気になり村長に聞いた。村長は数秒沈黙していたがやがて話し始めた。

「今からざっと4年ぐらい前、このようなことが起きたことがあるのです…そのせいで我が村の半数以上が殺されました…ある化物のせいで…」

「化物?」

たった一度の襲撃でそこまでの被害をもたらすほどの化物…まさか!

「その化物はどんな見た目かわかるやつはいるか!?」

俺がそう聞いた時一人の男の子が手を上げた。

「俺見たんだ…でかい鎧を着て大きな角を生やして後ろに黒い靄のようなものをつけていた化物を…」

でかい鎧、巨大な角、後ろに黒い靄…なるほど、そういうことか…

「なるほどな」

「何かわかったのか?」

村長が聞いてきたので俺は答えることにした。

「あくまで可能性だがそいつは人間の怨念と捨てられたものの怨念が実体化した鬼だ…人間は恨みや憎しみを持ちながら死ぬと鬼になる。その鬼が捨てられたものの怨念を背負っているんだろうな。」

だが、そうなると疑問もある…一体何故こんな不便のない村での生活でこれほどの怨念を持ったまま死ねるのか…

「うわ〜〜〜〜〜!!!!!」

俺がそんなことを考えていると村人の一人が突然悲鳴を上げた…見てみると黒い靄がこのシェルターの中に入ってきていた。

「下がってろ!」

そう言いながら俺は符で結界を張った。

「あんたは一体何者なんだ…?」

「俺は符術士の空魔だ、それよりお前たちにも結界を張った。早く逃げろ!」

俺がそう言うと村民たちは逃げていった。

「何故だ…」

「何故邪魔をするのだ〜〜〜〜〜!!!!」

そう言いながらその化物は俺に目掛けて刀を振り下ろしてきた…だが、それを俺は符で防ぎ弾き返した。

「お前こそ何故この村を襲う!?この村にどんな恨みがある!?」

俺がそう問うとその化物はこう言った。

「私が憎んでいるのはこの村ではない!私が恨んでいるのは我を殺し、この村のあり方を変え、古いものを平気で捨てる、この村の村長だ!」

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