砂糖たっぷり佐藤さん

黒猫

第1話  武藤さんと佐藤さんと

「はい、あ~ん♡」

今俺はなぜ同級生にあ~んをされているのだろうか…


武藤大樹は至って普通の男子高校生であった。

顔面普通(自称)、成績中の上か上の下

だが、性格がきついと言われ友と呼べるものは少なかった。


そんな俺に高2の春一人の女子が近づいてきた。


「武藤君勉強教えてもらえないかな?」

彼女は佐藤なぎ

容姿端麗、文武両道の彼女が俺に勉強を教わりたい?

わけがわからない。俺のほうが順位が低いのだから

「何を考えているんですか…」

ワントーン低い声で返答してしまい周囲からの視線を集める


「何を考えてるもなにもただ勉強を教えて欲しいだけなんだけどな~?」

「貴方よりも順位が低いのに教えられることなんてないですよ」

そう言って俺は席を立った


しばらくついてきていたが男子トイレにこもり唯一の友である笹木元に連絡をした。

「悪い、今日はそっちに行けそうにないわ」

『なんか面倒ごとか?助けに行くぞ』

ありがたい、ここは素直に甘えることにした。


「頼むわ、今3階西側男子トイレにこもってんだけど佐藤なぎっていうやつに追いかけられてて逃げ込んだんだ」

元は了解と言って通話を切った。


元が来るまで暇なのでゲームでもやって待って居ようと選んでいたところ

『☆なぎ☆』という知らないアカウントから通知が来ていることに気が付いた。

まさかと思いメッセージアプリを開いてみると

『逃がさないよ♡誰だろうと邪魔はさせない』

といった恐怖のメッセージが届いていた。


このままでは元がどうなるかわからない…

一人の友人を失いたくないので俺はおとなしくトイレから出ることにした。



笹木元~side

大樹から珍しく電話がかかってきた。

大樹が電話で連絡をしてくることはよっぽど焦っているときである

『悪い、今日はそっちに行けそうにないわ』

「なんか面倒ごとか?助けに行くぞ」

まあ大丈夫だといっても一応向かうのだが

『頼むわ、今3階西側男子トイレにこもってんだけど佐藤なぎっていうやつに追いかけられてて逃げ込んだんだ』

了解と言って三階西側トイレに向かった。





佐藤なぎ~side

大樹君をつけていたら男子トイレに逃げ込まれてしまった。

「ただ勉強を教えて欲しいだけなんだけどな…」

あまりこれを使いたくはなかったが彼のアカウントにメッセージを送った。

脅しているみたいで心が苦しいし、重い女と思われてしまうだろうがアタックしないことには成功もなにもない。


勉強…二人っきり…保健体育…

「ふふふ」

自然と笑みがこぼれてきた




佐藤なぎに脅された形でトイレから出てきたわけだが誰もいない


「なんだ…帰ったのか」

ホッと一安心し元に連絡しようとしたところ背後から抱き着かれているが襲ってきた

「だーれだ♡」

だーれだもくそもない…

こんなことをするのは一人しかいないし

ってか帰ってなかったのかよ。


「佐藤さんどうしてここに?」

「流石にむりがあるよ?」

だと思うよ。自分でもそう思う


「それでなにか用ですか?」

抱き着いているのをはがそうと試みるがなかなかはがせない。


「勉強を教えてよ」

「前も言ったけど俺のほうが順位低いんだから教えることはない」

身体を振ってみたが一緒になって振られており剥がれない。


「けちー。私物理苦手なの。だから教えてよ~」

ケチもくそもないのだがいい加減うっとうしかったので

折れてしまった。


「わかりましたよ…教えますから離れてください」

「その敬語止めたらいいよ」

そうか、と言いタメに直したらすんなりと離れてくれた。


「それでは…」

そう言って去ろうとしたところまたくっつかれてしまった。


「あの…それ止めない?疲れるんだけど…」

「だってそのまま教えるどころか関わらないようにするでしょう」

ハハハ…

「ソンナコトハナイヨ…」

「目が泳いでる」


「大樹!だいじょ…うぶそうだな」

なぞの頷きとともに階段を下っていこうとしている元


「待て元!!助けてくれるんじゃないのか」

元は振り返り

「お前に好意ダダ向けの奴を離したりはしない」

と吐き捨てて言ってしまった。


「ガチなの?」

背中には顔を赤くして小さくうなずく佐藤なぎの姿があった

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