人間が嫌いな俺の話。

雨野 結

第1話 気づいたら悪化していた訳で


朝起きて、上司に電話をかける。

いやぁ、我ながらヒモメンタル。

昨日、クレーマーに潰されかけて、本日体調が悪化した。

内心、勘弁してくれよ、と笑いそうになった。

ということで、本日は休みを取った。


俺は人間が嫌いだ。

どのくらいかと言えば、可能であれば、外に出たくないくらい。

補足をすると、外に出ることはいいが、とにかく誰にも会いたくない。

電車やバスは、乗るだけで冷や汗でるし、祭りとかテーマパークなんぞ行ったもんなら発狂する。

まぁ、そもそもそんな所には行かないんだけど。

乗り物が嫌いだとか、その場所が嫌いだとかじゃなくて、とにかく人がたくさんいるのが無理な訳だ。

特に集団が苦手だ。人間は群れると怖い。

家族だろうが恋人だろうが友達だろうが、群れはダメだ。

それと、女の声。あの声の波長がどうも苦手で、JKなんかもってのほかだ。井戸端会議している女ももってのほかだ。

ここまで来ると、ある意味一種の障害な気もするが、こんな俺がやってる仕事がこれまた厄介で、人を育む、教育の仕事だ。

人間嫌いが教育だなんて、猛烈な批判に合いそうだか、仕方がない。

俺だって夢と希望をもって、目指していた時は、そんなに人間が嫌いだった訳でもない。

むしろ、人と感動して、生き生きして、好きだった気さえする。

だが、今は違う。

心って簡単に廃れるんだな。

綺麗な水に、絵の具を一滴垂らすと、あっという間に染まっていくように、俺の心はみるみるうちに人間の汚い色に染っていった。

誰かのせいにしたい訳じゃないけど、人間関係ってやっぱりクソ重たい。


耐えて笑って偽って、気がついたらこの様だ。

人間嫌いが悪化して、過剰なストレス反応が出て、体調がおかしくなるところまで来た。

早いとこ、職場変えるか、仕事変えるかするべきなんだろうけど、結局たらたらここまで来てしまった。


俺ははぁと、ため息をついた。

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