第2話 モンスターを召喚してみよう。


「それで…どうすればいい。」


「そうだな、まずはダンジョンマスターアプリ、通称マスターアプリを起動する必要がある。モニターをイメージしてくれ。そうすれば目の前に画面が出る。」


アプリか…やけに近代的だな。もしかして俺が連れてこられた世界って未来か?いや、未来でダンジョンなんて聞いたことないか。まあいい、モニターをイメージか…やってみよう。

俺は頭の中でモニターをイメージした。でもどうせイメージするなら大画面のほうがいいな。100インチモニターだ。俺は100インチのモニターをイメージした。すると目の前に本当に100インチの画面が出てきた。中に浮かんでいる画面なんて俺のいた世界にはなかったな。SF世界みたいだ。


「これでいいのか?」


「ああ、OKだ。じゃあそこのマスター情報をタッチしてくれ。」


「これだな。」


俺は画面のマスター情報をタッチした。タッチするならもっと小さい画面のほうが良かったな…。誰だよ、100インチなんて言った奴。あっ、俺か。

1人漫才は後にしよう。俺が画面を見ると画面が切り替わっておりダンジョンマスター、つまり俺の情報が画面に映し出された。ちなみに今のステータスはこんな感じだ。


リン・ニシノ ダンジョンマスターLv1

戦闘ランクF-

保有スキル

虫モンスター強化Lv2

害虫強化Lv1


なるほど、こうやって表示されるんだな。左上にあるタブを押したら詳細を見る人物を切り替えられるんだな?どれどれ…

俺はアンの顔が書いてある部分をタッチした。すると予想通りアンの情報が表示された。


アンジェリカ・ヴェルフォツカ 従者Lv1

戦闘ランクF-

保有スキル

心読術Lv7


心読術か…心を読む感じのスキルか?しかもかなりの高Lvだ。これってLvが高いとモンスターとも会話が可能になるのかな?だとしたら大きなアドバンテージだ。


「女性のプライベートを覗くとはね…お前にデリカシーはないのか…?」


「情報の確認だよ確認。」


「全く…物は言いようとよく言った物だ。まあいい、ステータス欄に戻ってスキルをタッチしてみろ。」


俺は自分の顔が映っている所をタッチして詳細画面を自分に戻した。そしてスキルの欄ををタッチした。すると画面にスキルの詳細が表示された。


虫モンスター強化Lv2

虫モンスターの能力値を4%強化する。

害虫強化Lv1

害虫に指定されている虫モンスターの能力値を3%強化する。


名前からは予想出来たけど、どっちも虫モンスターを強化できるスキルか。両方をLv10にすれば条件を満たしているモンスターは能力に50%の補正がかかる感じか。これは大きいな。


「虫モンスターを強化するスキルか…君は生前虫に縁があったのか?」


「ああ、向こうの世界に居た時は虫に関する仕事をしていた。スキルは生前何をやっていたかで決まるのか?」


「そうだな。それだけで決まるとは限らないがスキルを左右する要素の一つにはなる。」


なるほど…そういえば向こうの世界では虫の研究ばかりしていたからな…それならこのスキルも納得だ。虫モンスターを強化するスキルはついて何ら不思議は無いとして…害虫を強化するスキルが付いたのは専門分野がアリやシロアリにハチ、いわゆる害虫に分類されることが多い虫だったからかな。


「さて、次はモンスターの召喚だ。戻るをタッチして一旦画面を最初の画面まで戻してくれ。」


俺は言われた通り画面をタッチして最初の画面に戻した。なんかいちいち操作が面倒くさいな…なんかショートカットのようなものは無いのか?


「戻ったな。ちなみに慣れればイメージするだけで行きたい画面にすぐに行けるようになる。」


「そうなのか?ならもっと早く行ってくれればよかったのに。」


「だがその為には大まかに各画面をイメージできるようになる必要がある。まずは画面を覚えるところからだ。」


「ああ、やっぱりそう上手くはいかないよな…。」


「じゃあ次はモンスターを召喚しよう。画面の左をタッチしてモンスター召還をタッチするんだ。」


俺は言われた通りに画面をタッチしモンスター召還画面をタッチした。すると画面が切り替わり、モンスターの召還画面となった。なるほど…各系統ごとに分かれているのか…これは結構な親切設計だな。でもスキル的に俺が召喚するのは虫モンスターだけなんだけどな…。


「とりあえず最初は虫系統のモンスターを呼ぼうと思う。この世界の虫モンスターの強みは何だ?」


「繁殖力の強さとある程度の戦闘能力を兼ね備えていることだ。弱点は一部のモンスターを除いて細かい指示が出来ない事だ。」


なるほど。繁殖力の強さは魅力的だな。増えるのが早ければ短期間で強力なダンジョンを作ることが出来る。それに強さも兼ね備えていることも魅力的だ。反面、弱点は一部のモンスター以外は細かい指示が出来ない事か…でも逆に言えば大まかな指示はできるってことだよな。まあその点は細かい指示が出来るモンスターと組み合わせることである程度は解決できるだろう。


俺は虫系統のモンスター一覧を選択した。初期で選べるモンスターは10種類少々か…横に書いてあるランクが高いほど強いって事だよな。最高はD+か…でも召喚コストが高いな。右上にあるDPって言うのが使用可能なPtって事だよな。今持っているのは1000DPか…これで召喚できるモンスターは限られているな…。そういやこのPtってどうすれば増えるんだ?


「アン、このPtってどうすれば増えるんだ?」


「そうだな。ダンジョンを広げてそこを領地にして自然増加量を増やすのが一般的な増やし方だな。他にもダンジョン内に冒険者が滞在していてもPtが入るし、ダンジョン内の冒険者を倒してもPtが入る。他にも方法があるが、それは後で話そう。」


あとで話すって言われたらなんか気になるな…でも今聞いてもどうせ教えてくれ無さそうだし。まあ後々聞くか。


「ところでお前はどのモンスターを選ぶんだ?」


1000DPで呼べるモンスターは…ミツバチの様なモンスターにクモの様なモンスター。それにシロアリの様なモンスターか。呼べる数はミツバチが2体でクモが3体。シロアリが10体か。戦闘力だけを見れば呼べる数が少ないモンスターほど強いって感じか。

でもダンジョン運営で必要なことは戦闘だけじゃないはずだ。例えばこれからダンジョンを掘らなければならないはずだ。そしてこの中でダンジョンを掘れるモンスターはシロアリ型のモンスターだけだ。


シロアリと言えば凄まじい繁殖力を持っている。大きなコロニーになれば数十万匹のシロアリが居る。その規模のコロニーになれば1日に生まれる卵の数も千を超える。もしそんなダンジョンを作ることが出来れば正攻法で倒すことはほぼ不可能だろう。それこそ勇者みたいなチートを使うしかなくなる。


それにダンジョンを作る能力で言っても文句なしだ。俺が居た世界のシロアリは数メートルの巨大な蟻塚を作るシロアリもいる。人に例えると1000mを超える建物を作るようなものだ。それに地上だけじゃなく地下も巨大な迷宮が張り巡らされている。戦闘能力以外では召喚可能なモンスターの中で最も優れているって訳だ。


「まずはこのシロアリを召喚しようと思う。戦闘力は高くないがダンジョンを作る力に長けているはずだ。」


「それは生前の記憶からか?」


「ああ、シロアリは戦闘能力こそ高くないが繁殖力がとても強い。多少の不利は数で補えるはずだ。それにダンジョン構築といったらこのモンスターに勝てるモンスターは中々居ないだろう。」


「そうか。じゃあお前の知識を信じよう。」


よし、これで召喚するモンスターは決まりだな。とりあえず5体召喚するとするか。これならDPがあと半分残る。残りのDPは何かがあった時のために残しておこう。


俺は召喚数を5体に設定し、召喚ボタンを押した。ボタンを押すと地面に魔法陣が現れ、魔法陣が消えた後には2m程のシロアリ型のモンスターが5匹いた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る