虫使いのダンジョン経営
七龍光彩
序章 転生
第1話 ここは何処?
…ここは一体?
確か俺はベットの上で寝ていたはずだ。こんな場所で寝た記憶はない。それにここはいったい何処なんだ?俺は辺りを見渡した。どうやらここは洞窟のようだ…だがどうして俺はこんなところに居るんだ?もしや最近流行りの異世界転生が起きたのか?だとしたら冗談じゃない。早く俺を元の世界に返せ。
俺は立ち上がり辺りを探索した。どうやらこの洞窟はこの部屋だけらしい。大きさは…10m四方ってところか。洞窟といえば…明かりが無ければ真っ暗のはずだが…どういう原理かは不明だがここは明るい。
しかし俺は何でこんな所に来たんだ?少なくとも俺の望みではないことは確かだ。そうなると考えられるのは誰かが超常的な力でここに俺を連れてきたって可能性か…反応があるか分からないが呼んでみるか…。
「おい!俺をこんな所に飛ばしたやつ!居るなら姿を現せ!」
俺は天に向かって叫んだ。こんなことをして本当に来るとは限らないが…まあ叫ぶだけタダだから叫んでみた。
「まったく、騒がしい奴だな。いま姿を現すから待っていろ。」
おいおい、本当に来ちゃったよ。声を聞いた感じは女性か…さて、どんな奴が出てくるか…
少しして地面が光り、魔法陣のようなものが現れた。そして魔法陣の上に光が集まり人の形となった。やがて光が消えるとそこには女性の姿があった。見た感じ年齢は20歳ぐらいってところか…角が生えているから人間なのかは分からないけど。
「お前が俺をここに飛ばした張本人か?」
「まあ、選んだのは私だがな。だが、少しは感謝したまえ、ここに連れてこなければお前は死んでいたのだぞ?」
なに?俺が死ぬだって?冗談じゃない。俺は健康体そのものだぞ?この前の健康診断だって医者に褒められたぐらいだ。死ぬ原因なんて全く思い当たるフシがない。だが一応何が原因で死んだか聞いてみるか。
「ちなみに何が原因で死んだんだ?」
「そうだな。心臓発作による突然死だったはずだ。」
心臓発作で突然死って…随分と無理矢理な死に方だな。もしかしてこいつが殺したんじゃないか?俺の年齢で突然心臓発作が起きる確率なんてそれこそ宝くじで100万が当たるようなものだろ?まさか俺に限って…。
「信用できないな…証拠はあるのか?」
「信用できないのならば地獄送りにすると言ったら信用するか?」
こいつ…俺を脅しているのか?だがそういわれてしまうと否が応でも信用するしかなくなる。何せ相手は人を別世界に送る力があるからな。その気になれば俺を本当に地獄に送る事だってできるかもしれない…ひとまずはこいつの話を信用するしかないか…。
「分かった。本当に地獄送りになったら敵わないからな。ひとまずはお前の話を信じよう。」
「そうか。それは賢明な判断だな。」
「で、改めて聞きたい。なぜ俺を地獄送りにせずここに連れてきた。」
「話せば長くなるが…簡単に説明するのならば神々の気まぐれだな。」
つまり、俺は神の気まぐれでこの世界に連れてこられたと…だが何でこんな所に連れてきたんだ?
「気まぐれなのは分かった。目的は何だ?ここに連れてこられたって以上何か目的があるはずだ。」
「目的か…単刀直入に言おう。君がこのダンジョンのマスターに選ばれたからだ。」
ダンジョンマスター?ダンジョンマスターってあれか…勇○のくせになまいきだとかの魔王的なポジションか?まあ聞けばなんとなくわかるが…だが俺には生憎大軍を統括できるだけ能力は無いぞ?それにダンジョンとか言っているけどここはただの洞穴だ。
「残念だが俺にはダンジョンマスターは務まる気がしない。他を当たってくれないか?」
「その場合は即地獄送りとなるが、それでもいいのかな?」
「つまり俺に拒否権なんて無いと…」
「まあ、そうなるな。」
いきなり呼び出しておいてダンジョンマスターになれか…しかも拒否権無し。この流れじゃ元の世界に戻るって事も出来ないだろうな…おまけに元の世界の記憶も曖昧でほとんど思い出せない…俺はどんな世界に居たんだ?
くそっ!もうどうにでもなりやがれ!地獄に落ちるぐらいならダンジョンマスターでも何でもやってやる!
「地獄送りになるって脅されたんじゃ仕方がない。どこまでやれるかは分からないがそれでもいいなら引き受けよう。」
「安心しろ。マスターのサポートが私の務めだ。」
「で、どうすればいいんだ?まさか手掘りでダンジョンを広げるって訳じゃないよな?」
「まあそう焦るな。今ダンジョンマスターの証を授ける。少し痛いが我慢してくれ。」
彼女は俺の左腕に指を当てた。
「おい、何をやって…それに痛むって…うっ…うぐぁーーー!!」
彼女が指を当てた途端、俺の体に激しい痛みが走った。少し痛むってレベルじゃねえぞ!ぐっ…体がバラバラに引き裂かれているみたいだ…!クソっ!この痛みはいつまで続くんだ!
「ハァ…ハァ…」
1分程してようやく痛みが引いた…痛みのせいで体からは汗が噴き出ていた。何が少し痛むだ…死ぬかと思ったぞ…そして左腕に入れ墨みたいな痣か…これがダンジョンマスターの証なのか?
「よく耐えた。これで正式にこのダンジョンのマスターとなった。ちなみにお前が死ぬと私も死ぬ。そこのところは頼んだぞ?」
つまりこいつと一心同体って訳か。まあ角はあるとはいえ相当な美少女だ。まんざらでもないな。さて、ダンジョンマスターになった訳だが…その前にこいつの名前をまだ聞いちゃいないな。
「ところでお前の名前は何ていうんだ?」
「ああ、私の名前か、私はアンジェリカ・ヴェルフォツカ。アンと呼んでくれ。お前の名は何というんだ?」
「俺は西野凜。この世界の呼び方ならリン・ニシノだ。リンでいい。よろしくなアン。」
「ああ、よろしく頼む、リン。」
さて、挨拶も終わったことだし早速ダンジョンマスターとしての仕事を果たすか。ところでダンジョンマスターの仕事って何があるんだ?ダンジョンを作るのは召喚獣がやることだろうから…まずはモンスターの召喚か?とりあえずアンに聞くか。
「アン、ダンジョンマスターってのは具体的に何をすればいいんだ?モンスターの召喚か?」
「そうだな。それもあるがモンスターを召喚する前に確認することがいくつかある。まずは私の指示通りに動いてもらおうか。」
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