好感度が見えるようになったら俺の高校生活がハーレムになった話
石田夏目
第1話 そして俺のハーレム生活の幕開け
机の上に言い訳用の教科書をたて
俺は友人から借りたギャルゲーなるものをプレイしている。
ようこそハーレム学園へと書かれたタイトル通り主人公が美女達からなぜかやたらとモテる。
現実ではかなりあり得ない設定だ。
だが男なら一度でいいからこういう状況になってみたいと思うものである。
…まぁおそらくそんな日は永遠に来ないだろうが。
成績も中の下、運動音痴、顔も全くイケていないとモテない要素三拍子が揃っている俺は
今まで彼女どころか告白すらされたことがない。
なるほど。
ギャルゲーというものはまさに俺のような人のために作られているのかもしれない。
「はぁーあ、俺も一度でいいからこういうモテまくりのハーレム生活送りたいよ…」
そう呟いた途端ゲームの画面が一瞬きらりと光った。
(あれ?今一瞬光ったような…気のせいか?)
もしかしたらゲームのやりすぎで目がおかしくなってきたのかもしれない。
そう思うとゲームの電源を切り目を閉じた。
やはり疲れていたのかすぐに睡魔に襲われ
夢の中へと誘われた。
「ふわぁぁぁぁ…」
「寝不足か?もしかして昨日渡したゲームプレイしたのか??」
そう声をかけてきたのは俺の友人でギャルゲーを貸してくれた工藤和也だ。
和也は容姿端麗、頭脳明晰、おまけにサッカー部期待の新星と非の打ち所が全くなく
普通なら女子の人気も高い…
はずなのだが。
「でっ!でっ!直紀はどのキャラが好き?
やっぱりあいぽんとか?俺はつくしちゃんなんだけどさ…」
ご察しの通り二次元にしか興味がない。
この間も女子に告白されていたのだが
ごめんね?僕二次元にしか興味ないから。と
見てる方が可愛そうになるくらいバッサリとふっていた。
「相変わらずぶれないよな。
まぁそんなお前だから友達になれたんだけど。」
仲良くなったきっかけは共通のアニメのキャラクターが好きだったことだった。
たまたまコンビニでもらったキャラクターのクリアファイルを持っていた俺に声をかけてきたのが和也だった。
まぁその時は二次元にしか興味がないやつだとは思わなかったが。
「ちょっと!!直紀うるさいんだけど。」
「はぁ?別にお前にしゃべってねーだろう
デレ子。」
デレ子こと山下希子は、俺の前の席で幼なじみだ。
低めのツインテールにメガネ、そして典型的なツンデレキャラから俺はデレ子と呼んでいる。
「ちょっと!そのあだ名やめなさいよ!次呼んだら承知しないから」
「本当は嬉しいくせに…」
「はぁ!?嬉しいわけないでしょ!?
馬鹿じゃないの!?」
すると体の周りからピンク色のキラキラが飛んでいき頭の上にあるグレー色のハートマークの中へと入っていった。
(なんだ?このハートマーク…
俺の目がおかしいのか?)
目を擦りもう一度確認するが
やっぱりデレ子の頭の上には大きなハートマークが浮かんでいる。
まるで昨日やったギャルゲーのようだ
「急にボーとしてどうしたんだい?」
「あぁいや、今デレ子の頭の上にハートマークが…」
「ハートマーク?そんなの見えないけど」
「なに?ついに頭がおかしくなったの?」
どうやら俺以外の人物には見えないようだ。
「いや、なんでもない。悪い。」
「へんなの…。
工藤、こんな変なやつと付き合うことないわよ。」
「まぁ確かに直紀は少し変わってるかもしれないけど悪いやつではないよ。」
いや、お前には一番言われたくない。
キーンコーンカーンコーン
授業開始を知らせるチャイムが鳴り響く。
「あーあ。こんな馬鹿のせいで貴重な休み時間が終わっちゃったわ。」
「じゃあ。またな、直紀。」
授業中、ふとデレ子の頭の上に浮かぶハートを見る
やっぱりこのハートは好感度なのか?
けどなんで急に…
ハッとして昨日言った言葉を思い出す。
―はぁーあ、俺も一度いいからこういうモテまくりのハーレム生活送りたいよ…
まさか。
まさか。
まさか…な。
けれどそうして俺のハーレム生活は幕を開けたのだった。
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