第2話 ある日の放課後

「みづきー、いっしょに帰ろっ」

 圭? 朝といい今日はなんなの?

「サッカーやるんじゃないの?」

「今日はいいや。みづきと話したいし」

「話なら休み時間にもできたよね」

「サッカーしてた」

「あっ、そう」

 話すのは別にかまわないんだけど、いっしょに帰るってことは……。

清田きよだ、告白かあ? やるじゃん」

 いると思ってた。こういうこと言ってくる男子。

「ちげえって。みづきとはおさななじみだし」

「おれとお前もおさななじみだろ。小一のときからずっと同じクラスで親友だから」

「そうだけど、みづきとはようちえんに入る前からだからお前より付き合い長いな」

「へえ、すごいな。それでおさななじみからレンアイにハッテンするというわけか」

「だからちげえって」

「照れなくも。ケントウをいのる!」


 まあ、いっしょには帰るんだけど。

 それにしても、むこうがさそってきたのに、前を向いてとなりを歩いている圭が静かね。こっちから聞かないとダメかしら。

「それで、話って何?」

「朝の続きなんだけど」

 朝ってことはもしかして。

「昨日うわばきをぬぎっぱなしにした理由な、早くサッカーしたかっただけだけど」

 なんてくだらない。

「別に、もういいわよ。大したことじゃないし」

「いや、そうじゃなくて。その前にやってたことがあって」

「ふうん。で、それって話したいことなの?」

「話したいっていうか、相談?」

 めずらしい。圭とはずっと前からの知り合いだけど、相談なんて初めてだわ。


「実は、気になる女子がいて、何しているのか見てた」

「ストーカー?」

 それにしても、放課後残ってる女子ってことは。期待しても良いのかしら。

「ストーカーって。いや、でも……」

「やめた方が良いわよ。それで、相手はだれ?」

 あっ、圭、こっち向いた。

「今も目の前にいるんだけど」

 やばい。顔があつい。

「何考えてんの? みづきじゃねえよ」

 え。だって、今も目の前にいるって。

「ほら、あそこ歩いてる」

 私ったら変なかんちがいして。はずかしい。圭が指さしている先にいるのは……。


 かたより少し短いかみ。圭ほどではないけれど、どっちかといえば高い身長。背すじをまっすぐのばした、堂々とした歩き方。一言で表すと、私とは何もかもが正反対なタイプ。

「ああいう子が好みなの?」

「好みってわけじゃないけど。ほら、最近みづきはおれを名前で呼ばないじゃん?」

「そうだっけ?」

「自覚なかったのかよ。あんたって呼んでる。けど、あいつはおれをちゃんと圭って」

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