人の汚展
空色ららみ
信念
黒いタイルの敷き詰められた部屋で彼女はポツリと呟いた。
「人間って本当に醜くて汚い。」
そんな生き物に溢れた世界に生まれた君はどう思うだろうか。
貴方も勿論私もそこら中を二足歩行で歩く彼らも、二足と棒で歩いている彼らも。
他の進み方でも良い。
君の目から見て、君と同じ種族の生き物だと思うものは全て、醜い。
私は少なくともそう思えてしまう。
何故って、そんなの君が一番わかっているはずだ。
とぼけて分からないふりしたって無駄。
君もゴミみたいな信念を今まさに貫いている所じゃないか。
心の中なら何を思っても良いと思っているんだろう?
信じたふりして本当は誰の事も信じていないんだろう?
本当の自分を誰も知らないと信じているのだろう?
素晴らしい信念だ。
それは。本当に。
その信念をみんなが持っているからこの世界は醜いのだ。
もうそろそろ君もわかっただろう。
君の隣の彼女も、貴方の愛する彼も、お前の尊敬する彼の方も、皮は美しくとも、中の成分は死ぬ程汚いということを。
勿論この私も、汚れている。
本当の自分が醜く汚いことを必死に隠す割には、他の人も汚いと思っている。
汚いのを隠す意味が無いじゃないか。
まあ、汚いことを晒して自ら毒を浴びる対象になろうとする馬鹿よりは、まだ美しく魅せ足掻いている方がマシではある。
だが、そんなのはノミとゴキブリぐらいの差でしか無いのだけれど。
人の汚と汚が日常的に交わり合うこの世界で、起きた事件を今から私がお話しよう。
この物語の始まりは、生まれたばかりの汚を知らずとても美しい純粋、無垢、素直、正直がとても良く似合う稀有な生き物。
汚い人間だってもちろん初めから汚い訳では無い。
何かが彼らを汚く汚さなければ、そんな事にはならない。
じゃあ何が人間を汚くさせるだろうか。
もちろん貴方も初めは美しい赤ん坊だったのですものね。
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