戀をあなたに…。
門倉 結兎
1:ベタな出逢いのプロローグ=Side詩乃
--夏。
蒸し暑かった梅雨が開けても、
間もなく、夏休みと言うこの時期。
たぶん、大多数の学園生の皆さまにとって…ある意味では、これからが夏本番なのでございましょう。
その大多数に含まれない私にとっては、代々続く
家業…と申しますと、お母様はあまり良いお顔をされませんし…
ですが…
きっと今の時代、
けれど1つだけ、それならどうして…と、そう思わされてしまう事がございます。
こうして毎朝学園に登校していると特に…あぁ、私は皆さまとは違うのだな…と。
何か…目に見えぬ存在から、それをまざまざと突き付けられている様な、そんな風に思わされてしまう事が1つ…。
「これはこれは、
当たり前の様に私に道を
「お早う御座います。」
ですけれど…内心とても恐縮な心持ちになるのは、むしろ私の方なのです。
この地で『巫女』と言えば、永きにわたって土地を、人々を守護してきた『
「巫女を
その為、ご高齢の方々は特に
…
決して、皆さまのお
本当の事を申しますと…今だって普通にご挨拶頂くだけで十分にありがたい事ですから、そうして欲しいのですけれど…。
以前に何度か「普通にご挨拶頂けないか」と、お願いしてみた事もございましたが…「
何度目かのお願いで「困ります」とまで仰られてしまったので、
挨拶だけでこの
するの、ですけれど…ご高齢の方々程でははないにしろ、同年代の皆さまにも同じ様な接し方をされてしまうのは…私にとって日々、心に
いいえ。
もしかすると、どれもこれも私の
きっといつか…巫女として本当の自覚と言う物が
--それが良い事なのかもわからないままに…。
お婆様との挨拶を終えて、朝の早い時間だと言うのに
「…ちこくするぅうううー!!」
突然の
次に気付いた時には、暗くなった視界の中…肩の辺りに
恐らくはこの時の私なんかとは違って、幾つもの物語をお読みになっていらっしゃる皆さまには、この時、この後に何があったのかお
2つほど言い訳をさせて頂ければ、1つはこの暑さの中、
もう1つは…
結果を申しますと、
パンを加えていたのは男の子でしたし、二人とも遅刻にはならないのですけれど。
--私の初めての、一度きりの
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