第14話 真犯人
私たちが中に入ると、山野本部長が近くに倒れていた。
「山野本部長、大丈夫ですか?」
翔が聞くと、山野本部長はゆっくりと話した。
「気を、つけろ、は、んにん、は、ふた、り、い、る、」
私たちは山野本部長の傷を《アイスヒール》で塞ぐと、さっき準備をしていた部屋に入った。
バンッ!
私たちがドアを開けると、川辺大尉と辻村司令官が何やら話していた。
二人の手には爆弾が握られていた。
「おや、やっぱりさっきの銃声が大きすぎましたか」
辻村司令官が言った。
「どうして?なぜ、このようなことをするのですか?」
私が聞くと、川辺大尉が言った。
「なぜ?理由は簡単なことですよ、鹿野中尉。特殊戦官が嫌いだからです」
「嫌いなのに、自分はなぜ特殊戦官なのですか?」
翔が聞くと、辻村司令官が言った。
「最初はとてもあこがれていてね、やりがいもあったんだ。でも、時間がたっていくにつれて、嫌になってしまったのだよ。まともに休みの1つも取れないこの仕事が」
「私は、ただ単に復讐です。人1人守れない特殊戦官への」
川辺大尉も言った。
「川辺大尉の言っているのは、5年前11区で起きた東京タワー立てこもり殺人事件のことですか?」
東京タワー立てこもり殺人事件は、2025年9月6日の深夜、2人の男性が1人の女性を人質にタワー内の展望台に立てこもりその後、射殺した事件だ。
「そうよ!あの時射殺されたのは私の妹だった。特殊戦官が中に入って犯人を殺せばよかっただけなのに……殺せば妹は……朱里は助かったかもしれないのに!」
川辺大尉は怒りで言葉遣いが変わりながら言った。
「特殊戦官への怒りが同じだったから、2人は手を組んだってことですか?」
私が聞くと、辻村司令官は言った。
「ご明察。さすがだね」
「でも、こんなの間違ってますよ!」
私は言った。
「うるさい!私たちは自分たちの好きなようにやりたいんです!」
川辺大尉はそう言うと、私たちが近づけないようにするためか、川辺大尉と辻村司令官を中心として炎の円を作った。
「ねえ翔、とりあえず二人が持っている爆弾、取ってきていい?」
「いいんじゃない?」
私は《飛走》で炎を飛び越えると、2人が持っていた爆弾をさっと取ると、翔の所に戻った。
「おかえり」
「ただいま。翔、この爆弾解除できたりする?」
「たぶん」
そう言うと翔は爆弾の解除を始めた。
川辺大尉と辻村司令官はいきなり手から爆弾がなくなったものだからあたふたしていた。
私はまた炎を飛び越えると、2人の近くに行った。
「なんで、爆弾何ですか?そんなもの使わなくたって能力でテロ何ていくらでも起こせると思うんですけど」
私が聞くと、辻村司令官はびっくりしたように言った。
「どうやって中に⁉」
(あれ?もしかして私の能力知らないのかな?)
「どうやってって……私の能力である《飛走》を使いました。もしかして、2人とも私たちの能力知らないですか?」
「……」
どうやら図星だったらしく、2人も黙ってしまった。
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