ヘッポコババァの独り言 

Cecile

第1話

ヘッポコババァこと私は、後数年で還暦だ。だからか、最近は昔よりも酒が弱くなった。と言うか、量は同じに飲めるのだが、その酔い方だ。今じゃもう家飲みばかりだが、以前なら夕方やもっと早い時間に飲んでも、平気で犬を連れて散歩へ行けた。最近だと駄目で潰れてしまう事がよくある。だから連れて行ってあげられず、翌日は焦って、謝りながら急いで犬と家を飛び出す。幸い、二日酔いなどはまずないから。           勿論、酔って散歩に出る時もあるが、この場合は大型犬は連れて行かない。("Y警察署の助平な御仁達"を読んでいただけたら分かるが、小松菜警部補を不審者だとして耳裏を噛んでしまった、うちで一番若い、牡のジャーマンシェパードだ。)小型犬も、もう今年で、私の飼っている犬達の中で一番年上だから、この子もパス。基本、この子の場合は夕方は庭に出す程度が多いが、小さな時から余り散歩を好まない。行けば歩くが、基本余り行きたがらない。昔、獣医に言ったら、別に健康だし、理由が特に見当たらないらしい。只、たまにそうした犬がいるらしい。だから、中型犬だけを連れて行く。一番、散歩好きな犬だ。               そして、先日は缶チューハイを二本飲んでから、買物に行った。その時に、ワインも買った。よく買う、1500ミリリットルでアルコール度数11%のワインだ。これを、他の食材と一緒に買った。           時間的に小腹が空いたので、揚げ物を1個、¥100の、確かメンチも買った。それを帰り道に、小さな公園のベンチに座り食べた。おやつタイムだ。ついでにワインの蓋を取り、飲みながら。あぁ、至福の時…。     こうして酒を飲む時が最高に好き。以前はよくやったものだ。一緒に働いていたホステスのオバサンと一緒に、公園や、デパートの屋上で飲んだ。デパ地下やコンビニで買ったお酒と食品。それらを楽しく頂く。お店に入る時もあるが基本はこのスタイル。でないとお金がかかる!何せ、量を飲むんだから。  だが、この日は生まれて初めてしてしまった事がある。とんでもない失敗だ!!やはり年のせいだろう。             ワインをドンドンと体に流し込み、殆ど無くなった。10分の8位を飲んだ。もういい加減に帰ろう。そう思い、自転車に跨がろうと、近づいた。その時だ。なにかフラフラする!まずい、これじゃあ乗れないぞ!!だからっていつまでもこんな所に座っていられない。いれば、恐らく寝てしまうかもしれない。どうしよう?               この時、私のバッグは自転車の前に付いているカゴの中。後につけたカゴの中には、買った物のビニール袋が入っている。そして、私は履いていたサンダルは脱いでいた。   それでどうしたか?私、ヘッポコはいきなり、もっとおかしくなる前に家へと走り出してしまった。              一体何が頭にあったのだろう?ハッキリとは分からないが、自分的には恐らくこうだ。この公園の側にはY-警察署がある。この公園は、大通りの後ろの太い道に大きなマンションがあるのだが、そのマンションに隣接している。そして大通りの歩道を渡ると、この警察署だ。つまりめちゃくちゃ近い。だから私はもしかしたらこう思ったかもしれない。 此処に自転車を置いて行ってしまえ!、と。鍵は抜けない、もうそんな事をゴチョゴチョとやっていられない、もう手がそんな事できないから。ええぃ、もうそのままでいいや!そしてサンダルもそのまま、脱ぎ捨て。こうしていれば、通行人がおかしいと思って、自転車を盗まないんじゃないか?なにか事件だと思い、気味が悪いから。        そしてもしかしたら誰かが、この近い警察署に通報してくれるかもしれない?そして自転車は盗まれないかも…。私はこんなふうに考えたかもしれない。           それで買い物した物も、バッグもそのままにして家に向かって走り出してしまったのだ。バッグだけは出して、肩に斜め掛けにして帰れば良かったのだが。買い物した袋はまだしも。(この日は、そんなに買ってなかった。)                 とにかく、家に着いた。正直、覚えていないが。そのまま、多分寝てしまったのだ。そして、翌朝。               あれ、バッグが無い?嫌だ、嘘〜?! 何でないんだ?? まさか…。        そうか、何処かへ置いてきてしまった?、酒飲んで?!やっちまったか!じゃ、もしか自転車は?あるかな?           この時には買い物ヘ行ったのは思い出していた。只、その買って来たビニール袋もないのだが。                 その時だ。「○○さん!」、と外から私の 苗字を呼ぶ男の声。誰だろう?だけどピンと来た。何か、私のバッグに関係があると。 やはり警察だった。私服を着た、浅黒い卵型の顔に眼鏡をかけた、頭髪の薄い男で、黒縁眼鏡が印象的だ。(もし本人が見たら不快になるだろうから言っておこう、顔立ちは悪くなかった。髪があったらもっとステキに見えた筈。別に私が好きなタイプじゃないが。)彼は恐らく刑事だろう。          そういや、制服警官たちの眼鏡が皆、やはり真っ黒いフレーム。あれ、多分決まりなのかな?視力が弱いとああした眼鏡をかけるのかも。私服の警官は違うみたいだけど、この刑事はそうだった。            (私の従兄弟(八方美人の鬼女)が警察にいるから、そんな事本当は聞けば分かるんだろうが…。)                とにかく、警察が朝早くにやって来た。私は急いでこう言った。           「お巡りさん、大変!バッグがないの!  自転車も。自転車もバッグもないの!!」           

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