第96話

車に乗る事、2時間あまり。


ここは、駅?

間違いない。

初めに僕が、下りた駅だ。


「そうだよ。泰道くん」

下りた時は余裕がなかったが、木造だったのか・・・

当たり前だけど・・・


電化もされている。


「あすかさん、どうしてここへ?」

「どうしてだと思う?」

「まさか、帰れとか・・・」

「違うよ。その逆」

「逆?」

どういうことだろう?


「ここから、静養所まで歩かない?」

「それは構いませんが・・・」

「ぼくとじゃ、不満?」

「いえ、喜んで・・・」


あすかさんと、並んで歩く。

初めての時とは、感じが違う。


「さくらから、君の事を聴いた時にね」

「はい」

「ぼくは、逃げ出すと危惧してたんだ」

「不定はしません」

あすかさんは苦笑いをする。


「ねえ、さくらの事どう思う?」

「さくらですか?」

「あの子、ああ見えて、寂しがり屋なんだ。1人が嫌いな子なんだ」

「みずほさんも言ってましたね。同じ事」

「でしょ?君はどう思う?」

みずほさんに言ったのと同じ事を伝えた。


「うん。君ならさくらを任せられるね」

「どういことですか?」

あすかさんは、僕の肩を両手で掴んだ。


「そう遠くないうちに、さくらは全てを君に明かすと思う」

「全てを?」

「でも、君ならそれを、受け入れてくれると、ぼくは信じてる。

もちろん、みずほも、さおりも・・・」

「それは・・・」

あすかさんは続けた。


「安心して。ニューハーフとかいう、落ちはないから。あの子は女の子だよ」

「それはわかります」

不謹慎だが、あの水着姿をみたら、女の子だとわかる。


「あっ、もちろん。ぼくたち3人も女の子だよ。試してみる?」

「いいです」

冗談でも、言わない方がいいです。


「話しているとすぐだね。ほら、さくらが迎えに来てる」

「本当だ」


さくらが手を振っている。

何だか久しぶりに会う気がした。


用事は終わったのかな・・・


あれ?

スカート?


制服以外では、もっていなかったはずでは・・・


「泰道くん、どう?」

開口一番、さくらが言う。


「ああ。スカートね。似合っていてかわいいよ」

「ありがとう。君のために買ってきたんだよ」

「用事って、それ?」

満面の笑みを浮かべるさくら。


また明日。

お休み・・・

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