第94話

「さあ、BGMをかけよう。泰道くん、何がいい?」

「言ったら何でもかけてくれるんですか?」

「うん、いいよ」

僕は応えた。


「あすかさんとの会話が、一番のBGMです」

「君にそういう臭いセリフは、似合わないよ」

わかってます。

言ってみたかったんです。


「じゃあ、よろしくチューニング」

「わかってるね。了解」

あるんですか?


「エンドレスで流すね」

「・・・はい・・・」


当たり前だが、僕は世代的に知らない。

父が子供の頃には、見ていたらしい。

その影響で知ったのだが・・・


「ぼくも、リアルタイムでは、観てないよ。

でもこの曲、熱くなるね」

「そうですね・・・」


2時間、この曲をエンドレスで聴いた。

あすかさんは、楽しそうに話している。


「ぼくが車に興味を持ったのは、この作品なんだ」


確かに、気分はハイテンションになるな。

この曲。


そして、到着した。

不思議と快適な時間だった。


「泰道くん、入って」

「お邪魔します」


田舎の小料理屋を想像していたのだが、おしゃれなレストランだった。

フレンチレストラン?


「泰道くん、何が食べたい」

「お任せします」

「だめ。言いなさい」

「ビストロですか?」

「うん」


しばらく考えて・・・


「・・・を、お願いします」

「かしこまりました」

あすかさんは、丁寧に頭を下げて消えて行った。


待つこと、数十分すると、あすかさんが料理を運んできた。

きたのはいいが・・・


「あすかさん、その格好」

「似合う?」

コックさんの格好をしていた。


「調理師免許、あるんですか?」

「ないよ。ぼくの趣味」

「そうなんですか・・」

驚かされるな・・・いろいろと・・・


食卓には、たくさんの料理が並んだ。

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