第76話

「どうぞ、召し上がれ」

さくさの、おむすびという名の、物体を見る。


「さくら・・・」

「何?」

頬杖をついて、ニコニコしている。


「腹に入れば、皆同じ」

という、名言がある。


でも・・・


「さくらは、器用だね」

「どうして?」

「星型に、にぎれるなんて」

もちろん、社交辞令。


「すごいでしょ?一生懸命に作ったんだから」

愛情が、一番の調味料。

食べてみる。


具は・・・ない・・・


「塩むすび?」

「ううん。他にもあるよ」

「さくらは食べないの?」

「私は、さっき食べたから・・・」


おむすびは、5つあった。

塩の他には、昆布、梅干し、鮭、海老マヨ


エビが好きなのか?

ここは・・・


「泰道くん、ごめんね。」

「何が?」

「もっと、大きく作りたかったけどね」

それに、答える。


「さくらの愛情が、無限大に入っているから、とても重かったよ。

栄養満点だ」

半分は嘘で、もう半分は本心だ。


「ありがとう、泰道くん。優しいね」





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